これまでの記事で、レンタルサーバーがどういうものかは、なんとなく理解できたと思います。
ここでは、もう少しレンタルサーバー、特に共用サーバーがどのような仕組みで成り立っているか、そしてその機能をどのように使用するのか、という具体的な仕組みの部分について掘り下げてみたいと思います。
なお、初心者にもわかりやすいように一部の機能については、あえて詳しい説明を省いていたり、厳密にいうと異なる部分もありますので、さらに詳しく勉強したい方は、より詳細な説明をしている書籍やサイトを確認してください。(サーバーの構築関連の情報を見るといいでしょう)
共用サーバーの仕組み
まず、土台となるサーバー自体がどのような仕組みで構成されているかを見てみましょう。
はじめ、サーバーはパソコンと同様、単なる箱のようなもので、それだけでは何の役割も果たしません。
そこに、各種のプログラムを動作させる土台となるOS(オペレーティングシステム)をインストールします。パソコンの場合は、Windows や Mac OSなどが、その土台のOSに当たります。
サーバーの場合は、サーバー専用のOSを使用することが多く、Linux 系のOSがほとんどですが、FreeBSDという Unix系のOSも使われています。Windows Sever を使用しているところもありますが、共用サーバーではほとんど使われていません。
Webサイトを公開したり、メールの運用をするような通常の使い方をしている限りは、特にこのOSを意識することはないですし、する必要もありません。
そして、そのOSの上に、Webサーバーやメールサーバー、データベースサーバーに当たる各種ソフトウェアをインストールします。
パソコンでいうと、Windows の中に ExcelやWordなどのOffice系ソフト、Internet ExplorerやGoogle Choromeなどのブラウザなど複数のアプリケーションをインストールするイメージです。
なお、ここでソフトウェアの名称自体に「サーバー」とついているため、一体何のことを指しているか混乱するかもしれません。
本来「サーバー」とはソフトウェアの事を指していましたが、次第にハードウェアを含めたシステム全体の事を「サーバー」と呼ぶようになりました。
そのため、サーバーの中にサーバーが入っているというよくわからない感じになっていますが、ここでの「Webサーバー」などのサーバーはソフトウェアのことを指しています。
各サーバーのソフトウェアには、以下のようなものがよく使用されています。
- Webサーバー:Apache 他
- メールサーバー:Postfix 他
- データベースサーバー:MySQL 他
その他にも、WordPressを使用するためには、phpなどの各種言語をインストールしたりデータベースをブラウザから直接管理できる phpPgAdminなどもインストールし、サーバーとして使用できるようにします。
私たちが借りる共用サーバーでは、こういったものがあらかじめすべて準備された状態で引き渡されます。
これで、一般的なレンタルサーバーの使用法である、Webサイトの公開やWordPressでのブログ公開、独自ドメインでのメールの運用ができるようになるわけです。
各種サーバープログラムの役割
上に挙げた3種類のサーバープログラムが、主に共用サーバーで使用される機能ですが、それぞれの役割を簡単に説明します。
Webサーバー
「httpサーバー」と言われ、ホームページに使われているHTMLというプロトコル(通信規約)もとにWebサイトを表示するためのプログラムです。
サイト閲覧者のブラウザからのリクエストに応じて、HTMLファイルや画像などのサイトデータを送信し、Webサイトを表示する役割を果たします。
URLの最初に書いてある「http://」のhttpは、このhttpプロトコルを使用して通信を行う、という意味です。
ほとんどの共用サーバーでは「Apache HTTP Server」というプログラムが用いられています。
メールサーバー
メールの送信や受信を行うプログラムで、メールを送信する「SMTPサーバー」と受信の要求に答える「POP3サーバー」や「IMAP4サーバー」などをまとめてメールサーバーと呼びます。
メールサーバーの基本的な骨組みはメールの転送を行う「SMTPサーバー」のみで成り立っていますが、メールボックスからメールを読み取りやすくするために、「POP3」や「IMAP4」という仕組みが取り入れられており、異なったプロトコル(通信規約)を使用しています。
古くは「Sendmail」、近年は「Postfix」や「qmail」というプログラムが多く使用されています。
データベースサーバー
データベースとは、データをストックしておくものですが、そのデータベースを内部に格納し、データベースから情報を呼び出したり書き込んだりする「データベース管理システム」が動作しているサーバーを指します。
レンタルサーバーの場合は、WordPressなどの CMS(コンテンツマネジメントシステム)で使われており、CMSを通して入力した情報を効率よく整理して格納したり、外部からのリクエストに応じてデータベース内の情報を検索し、その結果を返す、という処理をします。
レンタルサーバーでは、主に「MySQL」や「PostgreSQL」が用いられています。
なお基本的に「MySQL」や「PostgreSQL」は「データベースソフトウェア」と呼びますが、MySQL のこと自体をデータベースと言うこともありますし、その中に格納されている各領域のことをデータベースと呼ぶこともあります。実際に「データベース」という言葉が何を指しているのか混乱しないようにしましょう。
以上の他にも、サーバーの種類には、ファイルの送受信を行う「FTPサーバー」、ドメインとIPアドレスを紐づける「DNSサーバー」、ファイルを格納するための「ファイルサーバー」などがありますが、DNSサーバーは共用サーバーには配置されず、別途用意されます。
ユーザーが行う作業
次に、私たちユーザーが行う操作です。
まず、コントロールパネルといわれるような各種設定を行う画面にログインします。そこで独自ドメインの設定やデータベースの管理などを行います。
Webサイトの作成
- ・独自ドメインの設定
- ・Webサイトを格納する領域の確保
- ・HTMLファイルやCSSファイルのFTPなどでアップロード
WordPressの設定
- 独自ドメインの設定
- データベースの作成
- WordPressのインストール
- WordPressの設定画面にログイン
- テーマやプラグインのアップロード
- 記事の編集や画像のアップロード
メールの運用
- 独自ドメインの設定
- メールアカウントの作成
- メールソフトやメールアプリなどに設定情報を入力
以上の各作業を終えて、初めてWebサイトやブログの公開やメールの運用を行うことができるようになります。