ネットビジネスを行う上では、Webサイトへのアクセスを常にチェックし、分析する必要があります。そのためには、アクセス解析ツールを導入する必要がありますが、レンタルサーバー各社でもアクセス解析が行えるログ解析ツールが用意されています。
一般的には「Google Analytics」や「忍者アクセス解析」「i2i」などのアクセス解析ツールなどが有名ですが、レンタルサーバーで利用できるアクセス解析ツールには、サードパーティ製のログ解析ツールが利用されていることが多いです。
今回は、当サイトで紹介しているレンタルサーバー各社で提供されている、ログ解析ツールとその概要をまとめてみました。
アクセス解析ツールとログ解析ツールの違い
はじめに、厳密な言葉の使い分けの定義があるわけではないのですが、便宜上ここでは、レンタルサーバーで提供されているツールを「ログ解析ツール」、「Google Analytics」などのツールを「アクセス解析ツール」と言葉を分けてお話ししたいと思います。
この 2つの解析結果は異なることが多いです。というのも、そもそも各ツールの解析もとになるデータが異なるからです。
各ツールの解析もとになるデータを一言で説明すると、以下のような感じです。
- ログ解析ツール:外部からサーバーにアクセスした際にサーバーによって記録されたログ
- アクセス解析ツール:サーバー上にある Webサイトにアクセスした際に、そこに埋め込まれた Javascript などに対して応答を返した情報を記録したもの
これだけではピンと来ないかもしれませんので、もう少し具体的にどのようなアクセスが対象になるのか補足してみると、以下のような感じです。
- ログ解析ツール:Webサイトの閲覧者だけではなく、管理者自分自身が WordPress の管理画面にアクセスした記録や検索エンジンのロボットなどのアクセスの記録も含まれる
- アクセス解析ツール:Webサイトの閲覧者で、Javascript を ON にしている閲覧者のみの記録
もちろん、Javascript を使用しないデータ収集方法もありますが、基本的にログ解析ツールの場合は、サーバーにアクセスしたすべての情報が集積され、アクセス解析ツールは Webサイトを本当の意味で訪れた人の記録が残る、というイメージしておけばば OK です。
この二つをどう使い分けるかというと、閲覧者を増やすためにユーザーの分析をするのであれば、純粋なユーザーのアクセスのみを拾える「アクセス解析ツール」の情報を、サーバーの負荷状況を確認するのであれば「ログ解析ツール」を使う、という感じです。
それぞれ、お互いに別の用途に使うことができないわけではありません。ただ、アクセス解析ツールの情報でサーバーの負荷を確認するには除外されている情報が多いですし、ログ解析ツールでユーザーの動向を知るには余分な情報が入りすぎていますので、目的によって使い分けるのがベストですね。
また、ログツールの最も重要な使い方は、「503エラー」などのエラーコードの発生状況を確認することです。
ユーザーがサーバーへアクセスした際に、エラーが発生して閲覧できないような状況をはじめとする問題が発生した場合、このエラーコードがサーバーのログに記録されます。ログ解析ツールで、エラー発生の有無をチェックし、エラーが発生していた場合には、ログの詳細を確認することで、対策を行うことができます。
ただ、これにはログの見方に関する知識も必要ですので、生ログの見方についてもある程度知っておくとベストではあります。この点については、いずれ別記事で解説したいと思います。
レンタルサーバーのログ解析ツール一覧
では、さっそくレンタルサーバー各社で利用可能なログ解析ツールを見てみましょう。
当サイトで紹介しているレンタルサーバーで用意されているログ解析ツールは、以下のような種類があります。基本的には、下に行くほどより高機能になります。
- Analog
- Webalizer
- AWStats(Advanced Web Statistics)
- Access Analyzer
- Piwik
ログ解析ツールでは、月・日・時間・曜日単位でのアクセス数、地域・ホストIP・OS・ブラウザ・検索エンジン・検索ワードなど、ログから取得可能な基本的な情報を見ることができます。また、ツールによって、見ることができる情報や区分が違います。
各レンタルサーバーで利用できるログ解析ツールは、以下の通りです。
ログ解析ツール一覧
Webalizer | AWStats | Analog | Access Analyzer | Piwik | |
---|---|---|---|---|---|
エックスサーバー | ◎ | ○ | |||
カゴヤ | ○ | ||||
WebARENA | ○ | ||||
さくらインターネット | ○ | ||||
WADAX | ○ | ○ | |||
heteml | ◎ | ||||
ABLENET | ○ | ||||
お名前.com | ◎ | ||||
ロリポップ | ◎ | ||||
SpeeVer | ○(英語) | ||||
iCLUSTA+ | ○ | ||||
Bizメール&エコノミー | ○ | ||||
クローバー | ○ |
多くのサーバーでは、「Webalizer」が用いられています。また、エックスサーバーと WADAX では 2種類のログ解析ツールが利用可能です。
ほとんどのログ解析ツールはサードパーティ製のものをそのまま導入していますが、「◎」のものは自社用にカスタマイズされています。といっても、大幅なアレンジはされておらず、基本的にはビジュアルを見やすくした感じです。
各社、以下のように名前が付いています。
ログ解析ツールのカスタマイズ版
エックスサーバー | X Analyzer(Webalizer) |
heteml | Heteml Access Analyzer(AWStats) |
お名前.com | Access Analyzer |
ロリポップ | アクセス解析レポート(Analog) |
heteml のログ解析ツールの名称には「Access Analyzer」とついていますが、中身は「AWStats」ですね。
ログ解析ツールの概要
では、次に各ログ解析ツールの外観と特徴をざっと見ていきましょう。
なお、ツールによってはトップ画面にグラフなどがなく、少々イメージが付きにくい感じのものもあるので、そういったツールに関しては、ファーストビュー以外の部分を切り出しています。また、いずれもログ自体があまりないので、あまり見栄えがしないですが、その点はご了承ください。
Analog
Analog は古くからある、最も簡易なログ解析ツールです。見ての通り、グラフも棒グラフのみで、ビジュアル的にもかなりおとなしい感じです。集計された結果はすべて 1ページで表示されます。
この Analog を独自にカスタマイズしたものが、以下の「アクセス解析レポート」です。
アクセス解析レポート
ロリポップで提供されているログ解析ツールです。Analog がもとになっていますので、機能的にはそれほど高くはありませんが、ロリポップの管理画面にあわせたビジュアルにアレンジされていて、Analog に比べるととても見やすくなっています。
ただ、解析画面表示する前に、表示する項目を細かく設定する必要がありますので、そこは少々面倒くさいです。表示自体は同じく単ページ表示です。
Webalizer
Webalizer は最も多くのレンタルサーバーで導入されているログ解析ツールで、Analog より詳細な情報を見ることができます。
トップ画面は年単位の一覧で、あとは月単位で細かいログの状況を見ることができます。月のログは 1ページに縦長にズラーッと表示されます。月単位での表示のため、「●日の○時のアクセス」のような感じで分けて見ることはできません。
Webalizer をカスタマイズしたものが、以下の「X Analyzer」です。
X Analyzer
エックスサーバーで利用できるログ解析ツールです。Webalizer がもとになっていますので、「●日の○時のアクセス」のような感じで分けて見ることはできませんが、Webalizer では月毎の項目がすべて 1ページに表示されて縦長だったところを、項目ごとに1ページ単位で見ることができるので、すっきりして見やすく、使いやすくなっています。
なお、2017年1月に「X Analyzer」はリニューアルしました。
・見やすくなった!エックスサーバーがアクセス解析をリニューアル・旧アクセス解析を終了
AWStats(Advanced Web Statistics)
AWStats はさらに Webalizer よりも高度な情報を見ることができるツールです。(画像は WADAX)
表示は月単位の単ページ表示ですが、よりカラフルで、ビジュアル的にも少し見やすい感じがします。
AWStats をカスタマイズしたものが、次の「Heteml Access Analyzer」です。
Heteml Access Analyzer
heteml で提供されているログ解析ツールで、AWStats がもとになっています。パッと見、大きな違いはないのですが、若干項目がきれいに整理されていたり、グラフなどがフラットデザインで、色も見やすい色になっています。
Access Analyzer
Access Analyzer もより細かい切り口で、ログを分析することができるツールです。「年・月・日」単位で分けて表示することができます。
写真はクローバーの画像ですが、これが Access Analyzer のオリジナルの画面かどうかはわかりません。おそらく、クローバー用にある程度カスタマイズはされていると思います。
お名前.com 版Access Analyzer
こちらが、お名前.com用にカスタマイズされた Access Analyzer ということですが、ビジュアル的にもクローバーと結構異なりますね。項目を見ても、クローバーというよりは、Webalizer や AWStats の項目に近いような気はします。
なお、お名前.com 版では、肝心の「503エラー」などのサーバーエラーを確認できません。アクセス解析の画面から、各日の生ログが取得可能なので、そのログを見て情報を得るしかありません。そういう意味では、このツールの利用価値は低いと言えます。
Piwik
Piwik は Bizメール&ウェブエコノミーのみで提供されているログ解析ツールで、利用する際には事前にインストール、および Javascript のタグを張るなどの準備が必要です。
上の画像はアクセスログ自体があまりないので、全体的に白い感じに見えてしまいますが、非常に高機能で、他のログ解析ツールと比較すると、イメージ的には普通のアクセス解析ツールという感じです。
レンタルサーバーのログ解析ツール比較まとめ
以上、レンタルサーバーで利用できるログ解析ツールの概要の説明と比較をしてみました。
前述のように、Webサイトのアクセス向上などの目的で利用するのであれば、やはり外部のアクセス解析ツールのほうがいいですが、ログ解析ツールでもある程度のユーザーの動向をチェックすることができます。
また、一般的にはログ解析ツールのほうが動作は軽快ですし、自分のサーバーの健康度を知る意味でも、「503エラー」などのエラーが発生していないかを、一度確認してみることをおすすめします。
なお、レンタルサーバーにより異なりますが、ログ解析ツールを使用するためには、事前にツールのインストールや機能を有効にする必要があるところが多いです。また、それ以前にサーバーのアクセスログの記録を有効にしないと使えないところも多いので、サーバーを借りたら、まず最初にログの記録を ON にすることを忘れないようにしましょう。