最新機能を日本に導入し続ける先駆者 mixhost(ミックスホスト)と、東証一部上場企業であり、運用実績 [ago from=”1996/12/1″]以上のレンタルサーバーの老舗企業「さくらインターネット」。
新機能でユーザーを虜にしている mixhost と、業界トップの東証一部上場企業であるさくらインターネット、どちらを契約すべきか悩む人も多いでしょう。
そこで、今回はアズポケット株式会社の「mixhost」と、さくらインターネット株式会社の共用サーバーである「さくらのレンタルサーバ」を、サービスの機能やサービスだけではなく、独自に検証したサーバーの性能とパフォーマンスまで、徹底的に比較してみました。
各サーバーの主な違いをざっくりまとめると、こんな感じになります。
- 「mixhost」は性能も高く機能が豊富だが、その分やや玄人向け(アダルトサイトの運営も可能)
- 「さくらのレンタルサーバ」は、サーバー自体の性能的にはやや低めだが、大手の安心感とサポートが手厚い
以上から、以下のような結論になります。
・初心者・サポート重視向け ⇒ さくらのレンタルサーバ
・中級者以上 or アダルトサイト向け ⇒ mixhost(ミックスホスト)
では、具体的に比較した内容の詳細を見ていきましょう。
mixhostとさくらのレンタルサーバのスペック~サービスの詳細を比較
最初に、mixhost とさくらのレンタルサーバの主なサービス概要の違いから見ていきましょう。
主なサービス(ディスク容量・マルチドメイン数・データベース数など)の違い
基本的なサービス部分では大きな差はないが、独自ドメイン数とデータベース数は mixhost が無制限のためサイト量産には向いている
会社名 | プラン名 | 初期費用 | 月額費用 | ディスク 容量 | マルチ ドメイン数 | データ ベース数 | 転送量 (GB/日) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
さくら | ライト | 無料 | 1,571円/年 | 100GB | 20個 | × | 無制限 |
さくら | スタンダード | 無料 | 524円 | 300GB | 200個 | 50個 | 無制限 |
mixhost | スタンダード | 無料 | 968円~ | 300GB | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
さくら | プレミアム | 無料 | 1,571円 | 400GB | 300個 | 100個 | 無制限 |
mixhost | プレミアム | 無料 | 1,958円~ (※979円~) | 400GB | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
さくら | ビジネス | 無料 | 2,619円 | 600GB | 400個 | 200個 | 無制限 |
mixhost | ビジネス | 無料 | 3,938円~ (※1,969円~) | 500GB | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
さくら | ビジネスプロ | 無料 | 4,714円 | 900GB | 500個 | 400個 | 無制限 |
両社における各プランと価格帯毎にディスク容量、マルチドメイン数(設置可能な独自ドメイン数)とデータベース数(WordPress などの設置可能数)、転送量(サイトのデータ通信容量/アクセス数に関連)の目安を一覧にしました。
料金プランは、さくらが100円台~約4,000円までの 5つ、mixhost は968円~約3,938円までの 3プランになっています。さくらインターネットには、VPS や専用サーバー、クラウドなども提供していますので、ビジネスプロでも捌ききれないアクセスが来たら、専用サーバーなどを検討するという形になります。
ただ、さくらインターネットはプラン変更ができないため、上位プランに変更したい場合は、新規申し込みをした後に、データの移行をすべて自分で行う必要があります。一方、mixhost の場合は、プラン変更はいつでも自由に行うことができますので、アクセスが増えてきたら、順次上位のプランに移行していくことで、引っ越しをせずにずっと使い続けることができるなど、自由度が高いです。(下位のプランに変更することも可能)
ディスク容量は、さくらのほうが若干多い印象です。また、さくらもようやくストレージの種別が HDD から SSD になったため、処理速度も同様と考えていいでしょう。
また、転送量(Webサイトのデータを閲覧者に送信した総データ量)の上限目安は、さくらが2022年2月のリニューアル時に全プラン無制限にアップしたのに対抗し、mixhost も即時対応しましたので、同等です。
Web サイトの表示の際に、サーバーから閲覧者の PC に向けて送られるデータ量のこと。Web サイトへのアクセス数が多く、この転送量の上限をオーバーすると、アクセスが遮断され、サイトが閲覧できなくなってしまう可能性がある
独自ドメイン数とデータベース数は、mixhost が最安のプランから無制限になっています。サイトを量産したい場合には、mixhost がかなり有利ですね。
サーバースペック(CPU・メモリ・高速化機能など)の違いをチェック
サーバーのスペックは mixhost がかなり上 サイトの表示速度にもその結果が反映している
mixhost | さくらのレンタルサーバ | |
---|---|---|
Webサーバーソフト | LiteSpeed | Apache |
記憶媒体 | SSD | SSD |
データベース | MariaDB | MySQL |
CPU | Intel Xeon 36コア72スレッド (仮想 6/ 8/ 10コア) | Intel Xeon(Cascadelake) |
メモリ | 8GB/ 12GB/ 16GB | 18GB~48GB |
PHP | LiteSpeed LSAPI | モジュールモード |
高速化機能 | HTTP/3 QUIC (LiteSpeed Cache) | HTTP/2 |
アクセス増対策 | × | ○(リソースブースト) +(コンテンツブースト機能(CDN) ※スタンダード以下は有料) |
次に、サーバー周りのスペックの違いをチェックしてみましょう。
高速処理が可能な Webサーバーの LiteSpeed、仮想化され、他のユーザーの影響を受けにくい CPU とメモリなど、サーバーのスペックに関しては、新しい機能満載ということもあり mixhost がかなり上です。また、高速化の機能「QUIC」を日本で最初に導入したほか、「LiteSpeed Cache」という Webサーバーに対応した WordPress 用のキャッシュプラグインが利用できます。さくらには、こういった高速化の機能は用意されていません。
また、HTTP/2 や無料の独自SSL などの最新機能は、mixhost がどこよりも先行して提供していましたが、さらに HTTP/3 も日本発で導入しました。遅れながらも、さくらインターネットも HTTP/2 までは提供を行っています。
サイトへのアクセス数が増えたときに、一時的に転送量や同時アクセス数のリソース制限値を緩和する「リソースブースト」機能は、さくらのみ利用できます。一方、mixhost は日割り計算でプラン変更が可能、かつ即時プラン変更が反映しますので、アクセスが増えてきたら、一時的にプラン変更を行って対処することができます。
その他の主なサービス(独自SSL・バックアップ・サポート体制など)の違い
サポート面ではさくらが上 ただ、プラン変更できないのはマイナス点
mixhost | さくらのレンタルサーバ | |
---|---|---|
無料独自SSL | ○(COMODO社) | ○(Let’s Encrypt) |
WAF(Webアプリケーション ファイアウォール) | ○ | 〇 |
バックアップ | ○ | △(8世代 ※スナップショット) |
バックアップからの復元 | ○(無料) | ○(無料) |
プラン変更 | ○(上位/下位) | × |
電話サポート | × | ○ |
アダルトサイト | ○ | × |
データセンター | 国内 | 国内(東京/北海道) |
お試し期間 | ×(30日間返金保証あり) | 14日間 |
キャンペーン | 無料独自ドメインなど | ほぼなし |
※サイト情報、データベースをまとめてスナップショットという単位で保存(バックアップ)できる。更新ミスなど万一の場合にも、面倒な復旧作業なしに、スナップショットを使って後戻り可能。
次に、その他の仕様の中で違いがみられるものや、重要な機能やサービスと思われるものをいくつかピックアップし、比較してみました。
mixhost は、バックアップやプラン変更など、柔軟に利用できるサービスを提供しており、アダルトサイトの運営が可能な点も大きなポイントです。
2018年に入り、ようやくさくらもバックアップ機能の提供を始めました。また同時期に、サイトを公開する前に、実環境と同じ状況でテストサイトを作成できるステージング機能の提供も開始しています。これは、共用サーバーではほとんど提供されていない機能なので、結構大きなアドバンテージです。
一方、mixhost はサポートが Webのみと限定されており、電話サポートは利用できません。その点、さくらでは、ライトプランから電話サポートを受けられますので、初心者にはありがたいです。また、マニュアルもさくらのほうが充実していますし、運営期間の長さとユーザーの多さから言っても、ブログなどのネット上に掲載されている情報はさくらが多いです。
なお、mixhost の国内サーバーは、さくらインターネットのデータセンターにあるようです。そのため、バックボーンなどに関しては、同等の条件と言えるでしょう。ちなみに、管理人が使用している mixhost のサーバーは東京のセンターでしたが、さくらの持っている石狩(北海道)のセンターになる場合もあるようです。(ユーザーによる選択は不可)
各サーバーのパフォーマンスを比較
では、次に各サーバーの実力を比較してみましょう。サーバーの性能はスペックだけではわかりません。そのため、実際に各サーバーを使用して検証を行った結果をもとに、実際の能力差を見てみたいと思います。(※ 2021年の計測データを基にしています。)
比較に使用するのは、当サイトで独自に調査したデータで、同じ価格帯のプランである、mixhost「スタンダード」・さくらのレンタルサーバ「スダンダード」を使用した結果です。
同じ「スタンダード」という名前ですが、mixhost は月額 1,000円レベル、さくらは 500円レベルです。
※ 料金的にはさくらのほうが安いことになりますが、さくらの低料金プランの中では「スタンダード」が一番スペックが高く、人気も高いため選んでいます。
調査の詳細については、以下の各記事でご確認ください。
・Webサーバーの安定性を独自調査データで比較
・サーバー別のWordPress表示速度を独自調査データで比較
サーバーの安定性比較の概要
サーバー専用の監視ツールで 6か月以上計測した結果を比較
まず、サーバーで最も重要な「安定性」からチェックします。
調査は Webサーバーの監視ツール「Site24x7」を利用したもので、約 7日間× 6か月間に渡ってサーバーの稼働率と応答速度をモニタリングした結果を比較します。
「応答速度」は、外部からサーバーに対してサイトのデータを送るよう命令を送った際(HTTPリクエスト)に、どのくらいで応答を返してきたかを計測したもので、数値が小さいほうが応答は速いため、より良いサーバーということになります。
また、「応答なし回数」は、リクエストを送ったにもかかわらず、サーバーから応答がなかった(または、かなり遅かった)、つまり Webサイトの表示ができなかった可能性があると考えられますので、応答なしの回数が少ないほうが安定性の高いサーバーといえます。
Webサーバーの稼働率と応答速度を比較
mixhost は応答速度は高速だが、稼働率は平均を下回る結果に さくらは十分安定
順位 | サーバー名 (プラン名) | 項目 | 平均 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
6位 | さくらのレンタルサーバ | 稼働率 | 99.999% | 100% | 99.992% | 100% | 100% | 100% | 100% |
応答速度 | 997.8 | 1,020.0 | 957.0 | 929.0 | 1,040.0 | 1,030.0 | 891.0 | ||
7位 | mixhost | 稼働率 | 99.974% | 100% | 99.844% | 100% | 100% | 100% | 100% |
応答速度 | 362.5 | 363.0 | 414.0 | 370.0 | 344.0 | 339.0 | 345.0 | ||
8社平均 | 稼働率 | 99.995% | 100% | 99.974% | 99.999% | 100% | 99.999% | 99.998% | |
応答速度 | 389.4 | 413.9 | 421.5 | 337.1 | 386.0 | 388.0 | 350.0 |
※稼働率の単位は「%」、応答速度の単位は「ミリ秒」
応答速度は圧倒的に mixhost が速いです。やはり、サーバーの基本スペックが高いことが影響しているのでしょう。
一方、稼働率に関しては、mixhost が 8月に長いダウン(約 16分間)が発生したため、トータルでも 99.99% 未達となりました。ダウンは 8月だけだったので、これをたまたまと見るか、1回で 15分のダウンを長いと見るかは、なかなか判断が難しいところです。
さくらも同じ月にダウンが発生していますが、こちらは 1分以内に収まっています。さすが大手、というところでしょうか。
サイトの表示速度比較の概要
表示速度を計測する専用ツールで WordPress の表示速度を 6か月間計測して比較
次に、各サーバーに設置した WordPressサイトの表示速度を比較してみます。表示速度の計測には、同じく Site24x7 を使用しています。こちらも約 7日間× 6か月間に渡る調査結果です。
結果の数値については、小さいほうが速く表示できるということを意味しますので、数値が小さいほうがより良いサーバーということになります。(計測に使用したWebサイトのデータは共通)
WordPress の表示速度を比較
サイトの表示速度も mixhost がかなり高速 さくらを大きく引き離す結果に
順位 | サーバー名 (プラン名) | 平均(秒) | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5位 | mixhost (スタンダード) | 3.98 | 3.68 | 5.10 | 2.80 | 4.32 | 4.09 | 3.91 |
8位 | さくらのレンタルサーバ (スタンダード) | 5.02 | 4.97 | 4.67 | 4.35 | 5.72 | 5.35 | 5.03 |
平均 | 4.02 | 3.66 | 4.39 | 3.26 | 4.52 | 4.19 | 4.12 |
※単位はすべて「秒」
WordPress の表示速度に関しては mixhost が速く、順位でもハッキリと差がつきました。mixhost では LiteSpeed Cache は使用していないため、サーバー本来の実力の差と言えます。
mixhost は新機能をどんどん取り入れていますし、サーバーのスペック自体が非常に高いため高速ですが、逆にさくらは相対的に見て他社ほどは高速化に力を注げてはいないため、やはり速度も遅くなりがちです。
まとめ
mixhost は高機能、高速でやや玄人向け さくらはサポート・安定性重視で初心者向けという結論に
以上、mixhost とさくらのレンタルサーバについて、その機能やサービス、安定性・サイトの表示速度を比較してみました。
機能の豊富さ、WordPress の表示速度など、サーバーの性能においては、mixhost が圧倒的に上です。一方、電話サポートやマニュアル類など、サポート関連においては、さくらのレンタルサーバが優位と言えます。
mixhost もマニュアル類は見やすいですが、まだ運営期間が短いこともあって数がそれほど多くはないこと、ユーザー数に大きな差があることから、トラブルが発生した時に対処方法をネットで調べる場合も、まださくらのほうが情報量は多いです。また、mixhost の場合、問い合わせするにもマイページへのログインが必要になりますので、手軽さという面でもさくらが上でしょう。
一方、高機能・高速さを求めるのであれば、絶対に mixhost です。特に、WordPress などの CMS(コンテンツマネジメントシステム)を使用するのであれば、より高速な mixhost を選択するのがベストです。実際にさくらから mixhost へ乗り換えているユーザーも多いので、レンタルサーバーをある程度使用した経験がある人なら、mixhost を選ぶのが間違いありません。
以上から、各サーバーはこんな人におすすめと言えます。
・初心者・サポート重視向け ⇒ さくらのレンタルサーバ
・中級者以上 or アダルトサイト向け ⇒ mixhost(ミックスホスト)
さくらのレンタルサーバがおすすめな人
- 初心者でサポート重視な人
- 東証一部上場の安定性を求める人
mixhost がおすすめな人
- サーバーの性能や速度を重視する人
- 中級者やアダルトサーバー運営目的の人