本記事は「ハイスピード」プランのリリース当時(2019/9)の情報にて記載しています。
2020年8月のリニューアル以降の情報は、以下の記事を参照してください。
2019年9月2日に、「ロリポップ!」が満を持して「ハイスピード」プランをリリースしました。
名前の通り、はたして本当に「ハイスピード」なのか?、ロリポップ!で最も人気がある「スタンダード」プランと、この「ハイスピード」プランを徹底的に比較してみました。
結果としては、確かに「ハイスピード」プランは「スタンダード」と比べて高速な表示が可能なスペックと、実力を持っていることを確認しました。
ここでは、各プランの料金やスペックの違いから、実際にツールで計測した表示速度や安定性の違いについて詳しく解説していきます。
スタンダードとハイスピードの料金とスペックを比較
「スタンダード」と「ハイスピード」プランは、それぞれロリポップ!の中では、以下のようなターゲットを設定しています。
- スタンダード:趣味利用~ビジネス用まで
- ハイスピード:機会損失できないビジネスサイト向け
これを見ると、ネットビジネス用としては、より高速なハイスピードプランがおすすめのように見えますね。
では、実際に各プランの料金やスペックを比較してみましょう。
主にレンタルサーバーで重視するであろう項目と各プランに違いがみられる項目をピックアップしてみました。
スタンダード | ハイスピード | |
---|---|---|
初期費用 | 1,500円 | 3,000円 |
月額料金 | 500円~ | 1000円~ |
ディスク容量 | 120GB | 200GB |
Webサーバー | Apache | LiteSpeed |
ストレージ | HDD | オールSSD |
転送量目安 | 150GB/日 | 200GB/日 |
PHP | CGI版/モジュール版 | LiteSpeed版 |
ロリポップ!アクセラレータ | ○ | ○ |
独自SSL | 無料 | 無料 |
データベース(MySQL) | 30個 | 70個 |
独自ドメイン | 100個 | 無制限 |
自動バックアップ | 有料 | 最大7日分無料(復元は有料) |
WAF | ○ | ○ |
WebDAV | ○ | × |
アクセス解析 | ○ | × |
電話サポート | ○ | ○ |
上記の表から、ハイスピードプランのメリットとデメリットを読み取ってみましょう。
まず、メリットとして、「高速化処理に最適な環境」が用意されていることがわかります。
LiteSpeed サーバー・LiteSpeed 版の PHP 環境、高速な読み書きが可能なディスクである SSD という、まさに高速化狙いが明確な環境です。対して、スタンダードは、旧来の Apache や HDD など、高速化を進めている他社と比べても見劣りするスペックのままです。
また、独自ドメイン数が無制限、データベースが70個まで利用できるなど、サイトを増やしていく際にも十分なスペックになっています。
さらに、無料の自動バックアップに対応しているのは大きなメリットです。(バックアップからの復元は有料)
もちろん、他のプランでも有料のオプション(最上位プランである「エンタープライズ」プランは無料)を申し込めばバックアップは可能ですが、このオプションは月額300円なので、スタンダードの500円+300円=800円を出すのなら、ハイスピードの1000円でもいいのでは?と感じますね。
(※有料のバックアップオプションは、無料のバックアップ機能より自由度が大きく、高度な管理もできる点は異なります。)
一方、デメリットとしては、初期費用と月額料金が高い、まだ未対応の機能がある(WebDAV・アクセス解析・EC-QUBE の自動インストール)などが挙げられます。
ただ、ハイスピードプランに関してはリリースを優先していたようで、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)なんかも、2か月ほどしてからリリースされています。
そのため、現在未対応の機能についても、いずれ追加されていくのではないかと思います。
では次に、気になる実際の実力の違いを比較してみましょう。
ハイスピードプランの表示速度を比較
まずは、表示速度の違いを比較してみます。
いつものように WordPress を使用したサイトの表示速度がどれくらいかを確認してみます。
4か月に渡り、収容サーバーを変えて測定していますが、数値が小さいほうが速いです。
プラン名 | 平均表示速度(秒) | ||||
---|---|---|---|---|---|
平均 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
スタンダード | 3.50 | 4.70 | 3.01 | 3.03 | 3.10 |
ハイスピード | 3.00 | 2.87 | 2.67 | 3.92 | 2.35 |
トータルでは、ハイスピードプランが 0.5秒速いという結果になりました。
11月は逆転してスタンダードのほうがいい結果が出ているのがやや気になりますが、他の月はすべて2秒台で安定していますので、すべて3秒台以上の結果になっているスタンダードプランと比較しても、あきらかな優位性があることがわかりますね。
ハイスピードプランの安定性を比較
次に「Webサーバーの応答速度」についても見てみましょう。
「応答なし回数」は、Webサーバーから応答が返らなかったり、大幅に遅延したりしたケースの回数で、回数が少ないほうが安定しています。
チェックする項目は 2つで、「応答なし回数」と「平均応答速度」で、それぞれを順位付けしたものを総合して、総合順位をつけています。
また、「平均応答速度」「最速」「最遅」は、Webサーバーから応答が返ってくるまでの速度で、数値が小さいほど応答が速いため、安定性も高いことを意味しています。(単位はすべて「ミリ秒」)
- 応答なし回数(単位:回):リクエストに対して 10秒以内に最初の応答が返らなかった回数(0に近いほど安定)
- 平均応答速度(単位:ms ミリ秒):リクエストに対し返答を返した応答速度
要するに、「応答なしの回数」が少ないほど、また「平均応答速度」が速いほど、安定しているといえます。
プラン名 | 応答なし回数(回) | ||||
---|---|---|---|---|---|
応答速度(ms) | |||||
平均 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
スタンダード | 18.0 | 43 | 28 | 1 | 0 |
324.9 | 137.2 | 430.5 | 347.7 | 384.0 | |
ハイスピード | 37.0 | 73 | 0 | 18 | 57 |
315.8 | 206.8 | 231.0 | 610.4 | 215.1 |
平均応答速度に関しては、平均値でハイスピードプランのほうが高速であるという結果が出ました。
しかし、応答なしの回数はハイスピードプランのほうが多いことや、11月の応答速度で極端に遅い値が出ているなど、若干ブレが大きいように見えます。
これが収容サーバー毎の個体差なのか、その他の要因によるものなのかはわかりませんが、少し気になるところではありますね。
今後はハイスピードプランをロリポップ!のメインサーバーとして見ていこうと思っていますので、今後の調査の結果も注視していきたいと思います。
まとめ
以上、ロリポップ!「ハイスピード」プランの調査結果をまとめると、以下のようになります。
- スペック的には高速化処理に最適化した構成になっている
- 実際にスタンダードプランと比較して WordPress の平均表示速度は向上している
- 自動バックアップ機能が無料で使えるなど、他のプランにない魅力もある
- ただ、初期費用が低価格帯のプラント比べてやや高いことと、計測タイミングではやや大きめのブレも見られたので、今後もチェックしていく予定
以上のように、「ハイスピード」プランは「スタンダード」プランと比べても、高速化という点では明らかに速くなっていますので、より速いサーバーを使いたい人にとっては十分検討に値すると思います。
また、WebDAV などまだ提供されていない機能についても、追って追加されていくと思われるので、どうしてもすぐに使いたい機能があるのでなければ、特に気にしなくてもいいでしょう。
後は若干ブレが大きい点が気になるところですが、ロリポップ!の場合、プラン変更が可能なので、無難なところからスタートしたい人なら、スタンダードプランで使い始めて、後でハイスピードプランに変更するものありだと思います。
上位プランへの変更時には、データの移行などは一切必要ありませんので、迷ったときはスタンダードから始めることをおすすめします。