サイトを作るために、新規に独自ドメインを取得すると、「よし、これから頑張るぞ!」と意気込みを新たにするでしょう。
しかし、取得したドメインは、本当に「新規」のドメインなのでしょうか?
逆に、誰も使っていないドメインなのに、「新規」ではない、などということがありえるのでしょうか?
今回は、この2つのドメインの違いと、新規ドメインを取得する際の注意点について説明します。
新規ドメインと中古ドメイン
独自ドメインの種類など(.com / .info)については、こちらの記事で詳しく説明しました。
しかし、SEO(検索エンジン対策)の観点から見ると、ドメインには全く異なる種類・見方があります。
それが「新規ドメイン」と「中古ドメイン」です。
独自ドメインを取得する場合、ムームードメインなどのドメイン取得業者のサイトから、自分の希望するドメインを取得できるかどうかを調べます。そして、希望するドメインが取得可能であれば、契約をしてドメインを取得できます。
自分にとっては初めて取得するドメインなので「新規ドメイン」だと考えますが、実はそのドメイン、過去に別の誰かに使われていた可能性があるのです。
過去に別のサイトで使用されていたドメインが、取得者がサイトを閉鎖することで手放したり、ドメインの期限切れなどでフリーになったものを「中古ドメイン」と呼びます。
取得した本人にとっては、中古だとしても現在使われていないものなので、それほど大きな違いはないでしょう。
しかし、SEO の観点から言うと、新規ドメインと中古ドメインでは大きな違いがあるのです。
中古ドメインの価値とは?
検索エンジンのランキングを行うためには各サイトの様々な要素が考慮されますが、ランキングの上位に上がるためには特に以下の2つの要素が特に重要だと言われています。
- サイト自身のコンテンツの質
- サイトに対する被リンク数と質
ここでいう「被リンク」というのは、自分のサイトに対する他のサイトからのリンクのことです。
各サイトでは記事の中で、その情報源として他のサイトの文章を引用したり、より有用な情報を共有するために他のサイトへのリンクを張ったりします。
リンクを張られることは、すなわちそのサイトが有益な情報を提供していると判断できるため、張られるリンクの数が多ければ多いほど、それだけ有益なサイトとみなされるわけです。
また、リンクは一度張られると、なかなか更新されることがありません。つまり、過去に張られたリンクは、そのサイトが閉鎖したとしてもそのまま残っていることがあります。
中古ドメインを取得すると、過去のサイトで張られたリンクやその評価をそのまま生かすことができるため、新たにサイトを作るにも関わらず、検索エンジンから高い評価を受けることができると考えられています。
もちろん、索エンジン側は、新規サイトは過去のサイトの評価を引き継がない、というアナウンスをしていますが、実際は中古ドメインの評価は完全な新規ドメインよりも高くなると思われるケースがあるようです。そのため、評価の高いドメインを期限切れになるタイミングで取得し、アフィリエイターなどに販売する業者もいます。
中古ドメインは諸刃の剣
上のようなメリットもある反面、逆に過去のサイトが悪い評価を得ている場合は、検索エンジンからも悪い評価を得てしまう可能性があります。
特にアダルトサイトなどからリンクを張られていたり、同じドメインで悪質なサイトを運営していた場合、URL がブラックリストなどに登録されてしまい、いくらいいコンテンツを作っても、検索エンジンの上位に上がらないということもあり得ます。
そのため、仮に新規でドメインを取得するとしても、そういったマイナスの要素がないのかどうか、確認しておくべきでしょう。
過去にどのようなサイトが運営されていたのか、またどのようなリンクが張られているのかは、それらを確認できるツールを利用することである程度チェックすることができます。
以下にその方法を説明します。
なお、あえて中古ドメインを利用したい場合は、それなりのノウハウが必要です。何も勉強せずに取得するのはお金の無駄になる可能性もありますので、そういったノウハウを知りたい人は、別途詳しいサイトなどで勉強してみてください。
ドメインが新規かどうかを確認する方法
まずは、取得するドメインを決めましょう。
好みの独自ドメインが空いているかどうかをまずチェックする必要がありますので、ムームードメインなどのサイトで自分の好みのドメインを取得できるかをチェックします。
ドメイン名が決まったら、順次以下を実行します。この順番には特に決まりがありませんので、順番が入れ替わっても問題ありません。
また、ここで紹介している以外のツールでもチェックすることができますので、それも特にこだわる必要はありません。
- ドメインエイジ(年齢)を確認する
- 過去の運営サイトをチェックする
- ブラックリストに入っていないかを確認する
- 被リンクをチェックする
1.ドメインエイジのチェック
まず、「ドメインエイジ」をチェックします。
「ドメインエイジ」とはドメインが初めて取得され、サイトが公開されてから経過した年数のことで、この年齢が長いほうが SEO 的にも有利と言われています。
ここでは、新規ドメインかどうかを確認することが目的なので、ドメイン年齢がついているかどうかだけをチェックすればいいでしょう。
上のリンクからサイトを開き、枠の中にチェックしたい URL を入力したら、「ドメイン年齢を調べる」ボタンを押します。
検索結果の「ドメイン年齢」の欄に、最初に確認された日とそれから現在までの経過年月が表示されます。これが表示されていたら、過去に別サイトでの運営実績があるということです。
上記のツールでは、最大20件のURLまで確認することができますので、取得する候補になる URL をあらかじめまとめておいて、このツールでチェックするといいでしょう。
2.過去の運営サイトをチェックする
ドメインエイジがある、つまり過去に他のユーザーによって同じドメインでサイトが運営されていた場合、そのサイトが問題のあるサイトではないか、サイトの中身をチェックします。
過去のサイトの状況を確認するには、「WAYBACK MACHINE」というサイトを使用します。このサイトは、過去に存在したサイトのスナップショットを保存しているサイトで、URLを入力することで、そのドメインの過去の姿をチェックすることができます。
直接下記のサイトを開いてもいいですし、上の「ドメインエイジチェック」のサイトの検索結果に表示された「運営年月」のリンクをクリックすることでも開けます。
・WAYBACK MACHINE
http://web.archive.org
表示されたカレンダーの最上部にある、年ごとのグラフの中に縦棒が表示されているところがあります。これがそのスナップショットが取得された場所です。その棒グラフをクリックすると、さらに下にその年のカレンダーが表示されます。
その中の青い丸が表示されているところが、実際にスナップショットが取得された日なので、そこをクリックすると、実際に過去に運営されていたサイトの様子を見ることができます。
うまく表示されない場合もありますが、ここで過去に運営されていたサイトが問題のないサイトかどうかを確認できます。
3.ブラックリストに入っていないかを確認する
(ここまではドメイン取得前にチェックできますが、ここから先は実際にドメインを取得してからではないと確認できない可能性がありますので、ご注意ください)
WAYBACK MACHINEで過去のサイトの状況が確認できたら、過去にそのサイトがペナルティを受けて、ブラックリストに登録されていないかを確認します。
ブラックリストに登録されてしまっていた場合、どんなに頑張ってコンテンツを作成しても、検索上位に上がるどころか、検索にヒットさえしない可能性も高いです。
ブラックリストに登録されているかどうかのチェックは、以下のツールで行います。
・aguse
https://www.aguse.jp/
使い方は簡単で、取得候補の URL を入力して「調べる」をクリックするだけです。
表示された検索結果を一番下までスクロールすると、「ブラックリスト判定結果」という項目がありますので、その右の列にある「判定結果」がすべて「○SAFE」となっていればOKです。
4.被リンクをチェックする
最後に被リンクをチェックします。
過去に運営されていたサイトが、問題のある被リンクをつけられていなかったかをチェックできます。
サイト自体が正しく運用されていたとしても、検索上位にヒットしていたりすると、アダルトサイトなどから被リンクをつけて評価を落とし、検索順位も落とすなどの「逆SEO」というブラックな手法が使われることもありますので、チェックするに越したことはありません。
なお、以前は様々なツールでリンクを確認できたのですが、現在はツール類でリンク元をチェックするのは難しくなりました。
唯一正しい情報をチェックできるのは、「Google Search Console(旧Webマスターツール)」ですが、このツールはドメインを取得しないと確認ができません。
他のツールでは、ドメインを取得する前にチェックすることはできませんので、実質的に事前チェックはできないと考えていいでしょう。
ただ、一部の情報は取得できる場合もありますので、一応チェックツールを紹介しておきます。
・hanasakigani.jp
http://hanasakigani.jp/
「マイサイト被リンクチェック」のタブが有効に(青く)なっているのを確認し、「マイサイトのURL」に調べるドメインを入力し、「check」をクリックします。
表示された結果の「被リンクのページタイトルとURL」の中にあるURLをクリックすると、リンク元のサイトを確認することができます。
このリンク元のサイトが問題があるようであれば、取得は避けたほうがいいかもしれません。
新規ドメインチェックのまとめ
以上の手順でこれから取得しようとしているドメインが、本当に新規のドメインかどうかを知ることができます。
実際にチェックを行ってみると、割と誰でも思いつきそうな2つくらいの単語を組み合わせた程度の URL であれば、ほとんど過去に取得されたことがあるということがわかってがっかりするかもしれません。
ただ、せっかくこれから時間をかけてサイトを作り上げようとしているのに、少なくとも悪い評価を得ているドメインを取得してしまっては、その労力が無駄になってしまうか可能性も低くありません。
そのため、少々手間はかかりますが、ぜひ独自ドメインの取得時にあわせて確認しておきましょう。
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