初心者からネットビジネスオーナーまで、多くのユーザーに愛用されている格安レンタルサーバーである、ロリポップ!。近年は「格安」「初心者向け」というイメージを払しょくし、より幅広い層のユーザーに対応するよう、サーバー環境の刷新やイメージアップに努めています。
現在、ロリポップ!には、月額110円で利用できる「エコノミー」プランから、法人向けの「エンタープライズ」プランまで、全部で 5つのプランが用意されていますが、特に「ライト」~「ハイスピード」の 3つのどのプランにすればいいか迷う人は多いのではないでしょうか?
この記事では、ロリポップ!のプランの毎の性能の違いを、サーバー仕様とサービス面だけではなく、実際のパフォーマンスまでを、当サイト独自に調査を行った実測データをもとに、徹底的に比較してみました。
現時点の結論としては、以下のとおりです。
圧倒的な高コスパと性能の高さで
「ハイスピード」プラン の一択!
では、具体的に比較した内容の詳細を見ていきましょう。
ロリポップ!の 5つのプラン、サービス面に違いはあるのか?詳しくチェック
サーバーの性能を比較する前に、まず 5つのプランのサービスやサーバーのスペックの違いについて、ざっと見てみましょう。
細かい仕様などの違いについては、ロリポップ!の公式サイトを見ていただくとして、ここでは各プランの違いによって、何ができたりできなかったりするのか、その概要をわかりやすく説明してみたいと思います。
主なサービス(ディスク容量・マルチドメイン数・データベース数など)の違い
コスパの面では、初期費用無料の「ハイスピード」プランが頭一つ抜けている
会社名 | プラン名 | 初期費用 | 月額費用 | ディスク 容量 | マルチ ドメイン数 | データ ベース数 | 転送量 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ロリポップ! | エコノミー | 1,650円 | 99~132円 | 100GB | 50個 | × | 無制限 |
ライト | 1,650円 | 220~440円 | 200GB | 100個 | 1個 | 無制限 | |
スタンダード | 1,650円 | 440~880円 | 300GB | 200個 | 50個 | 無制限 | |
ハイスピード | 無料 | 550~1,320円 | 400GB | 無制限 | 無制限 | 無制限 | |
エンタープライズ | 3,300円 | 2,200~2,530円 | 1.2TB | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
ロリポップ!の場合、プラン毎にディスク容量が大きく異なっていたり、使用できるデータベース数が違うなどの差がありますので、料金~ディスク容量などを一覧にしました。
まず、料金面では、唯一初期費用が無料の「ハイスピード」が頭一つ抜けています。このプランは他社でいうと、本来月額 1,000円レベルのサービスなのですが、最低料金が 550円と非常に安く、まさに出血大サービスのプランです。
また、「マルチドメイン数」(独自ドメインを設定できる数=Web サイトの作成可能数)や 「データベース数」(=WordPress の設置可能数)なども違いがあります。
これを見ると、エコノミーは WordPress の設置不可、ライトも WordPress サイトは 1つしか作れないということがわかります。
そのため、複数サイトを作りたいならスタンダード以上を選ぶか、ライトで 1つ作成するのに慣れてから、上位プランに変更するのがいいでしょう。
サーバースペック(CPU・メモリ・高速化機能など)の違いをチェック
サーバーのスペックにおいては、基礎にあたる「サーバーソフト」と「PHP」の処理が、ハイスピード以上がより高速
スタンダード以下 | ハイスピード以上 | |
---|---|---|
Webサーバーソフト | Apache(アパッチ) | LiteSpeed(ライトスピード) |
記憶媒体 | オールSSD | オールSSD |
データベース | MySQL | MySQL |
CPU | 非公開 | 非公開 |
メモリ | 非公開 | 非公開 |
PHP | モジュール版 | LiteSpeed 版 |
高速化機能 | HTTP/2 ・ロリポップ!アクセラレータ ・コンテンツキャッシュ機能 | LiteSpeed Cache・HTTP/2 ・ロリポップ!アクセラレータ ・コンテンツキャッシュ機能 |
アクセス増対策 | ○(同時アクセス数機能拡張 (ブースト機能)) | ○(同時アクセス数機能拡張 (ブースト機能)) |
次に、サーバーのスペック部分の違いを見てみましょう。
こちらはスタンダード以下とハイスピード以上で二分されますが、サーバーの基礎の部分にあたる「サーバーソフト」と「PHP」の処理が異なります。
(※ PHP は Web 系では最もメジャーな言語の一つで、WordPress の言語としても使用されている)
下位プランは、古くから使用されている Apache と モジュール版 PHP に対し、上位プランはより高速な処理が行える、LiteSpeed と LiteSpeed 版の PHP を利用することが可能です。
さらに、上位プランは高速表示が可能な WordPress のキャッシュプラグイン「LiteSpeed Cache」も利用できるようになりました。(※ロリポップ!アクセラレータとの併用は不可)
CPU やメモリなどは非公開のため比較できませんが、おそらく上位プランはそれなりに高いスペックをあてがわれていると思いますので、実際に速度や安定性が高いです。
その他の主なサービス(独自SSL・バックアップ・サポート体制など)の違い
サービス面では、バックアップと電話サポートの有無に違いあり
スタンダード以下 | ハイスピード以上 | |
---|---|---|
無料独自SSL | ○(Let’s Encrypt) | ○(Let’s Encrypt) |
WAF | ○ | ○ |
バックアップ | 有料(Web/メール/データベース) (過去7回分) | 無料(Web/メール/データベース) (保存期間不明) |
バックアップからの復元 | ○(無料) | ○(無料) |
プラン変更 | ○(上位のみ) | ○(上位のみ) |
プラン変更のタイミング | 月単位 | 月単位 |
電話サポート | △(ライト以下はなし) | 〇 |
アダルトサイト | × | × |
データセンター | 国内 | 国内 |
お試し期間 | 10日間 | 10日間 |
キャンペーン | 独自ドメイン永久無料、 初期費用無料など | 独自ドメイン永久無料、 初期費用無料など |
サービスの面においては、自動バックアップと電話サポートの有無に違いがあります。
全プラン共通して、7世代までバックアップが行える高機能な機能を有料で利用できますが、ハイスピード以上はそれとは別に自動バックアップが提供されています。
しかし、この自動バックアップは保存期間が開示されていないため、自分の好きな時点でのバックアップを復元するようなことはできないと思われます。
たとえば、誤ってサーバー上のデータを消してしまったときに、1日前のものではなく、4日前のデータを復元してほしい、といったリクエストはできないと考えられます。
一方、電話サポートはスタンダード以上が利用可能です。初心者には電話サポートが非常に有用ですが、ライト以下のプランでは利用できないため、電話サポートを必要とする人はスタンダード以上を選びましょう。
(※チャットサポートは全プラン利用可能)
ロリポップ!のサーバーパフォーマンスをベンチマークツールでチェック
では、 ロリポップ!の各プランにおけるパフォーマンスを比較してみましょう。サーバーの性能はスペックだけではわかりません。そのため、実際に各サーバーを使用して検証を行った内容から、実際の能力差を見てみたいと思います。
(※ 2021年 8月に計測したデータをもとにしています)
データの計測は各プランに設置した WordPress で比較します。
前述のとおり、エコノミープランはデータベースが利用できないため除外しています。
(エコノミーでも SQLite は利用できるため、WordPress の設置は一応可能ですが、割と高度なスキルが必要なため、通常は使われません)
サーバーの安定性(Webサーバーの稼働率と応答速度)を比較
稼働率はいずれもほぼ 100%を記録 応答速度は上位と下位で明確な差
まず、サーバーで最も重要な「安定性」からチェックします。
調査は Webサーバーの監視ツール「Site24x7」を利用したもので、約 7日間に渡ってサーバーの稼働率と応答速度をモニタリングした結果を比較します。
「稼働率」は、サーバーが正常に動作していた時間帯の割合で、100%に近いほどより安定していると言えます。おおむね「99.99%」程度であれば優秀です。
(※ 稼働率=(稼働時間×障害時間)÷稼働時間×100)
「応答速度」は、外部からサーバーに対してサイトのデータを送るよう命令を送った際(HTTPリクエスト)に、どのくらいで応答を返してきたかを計測したもので、数値が小さいほうが応答は速いため、より良いサーバーということになります。
プラン名 | 稼働率(%) | 応答速度(ミリ秒) |
---|---|---|
ライト | 99.994%(38秒ダウン) | 414 |
スタンダード | 100% | 412 |
ハイスピード | 100% | 298 |
エンタープライズ | 100% | 243 |
※無断転載禁止
※稼働率の単位は「%」、応答速度の単位は「ミリ秒」
まず、稼働率ですが、唯一ライトでダウンが発生しました。ただ、38秒と短い時間でしたので、稼働率としてはまずまず、と言ったところです。
他はすべて100%を達成できていますが、7日間という短い期間なので当然の結果と言えるでしょう。
一方、応答速度に関しては上位プランと下位プランで明確なスピードの差が出ています。下位は 400ミリ秒、上位は200ミリ秒レベルと、明確に上位プランの方が速くなっています。
基礎部分の Web サーバーがより高速な LiteSpeed であることが影響しているからでしょう。
サイトの表示速度(WordPress の表示速度)を比較
サイトの表示速度はやはりエックスサーバーが僅差で上 ロリポップ!も十分な速度を達成
次に、各サーバーに設置した WordPressサイトの表示速度を比較してみます。表示速度の計測には、同じく Site24x7 を使用しています。こちらも約 7日間に渡る調査結果です。
結果の数値については、小さいほうが速く表示できるということを意味しますので、数値が小さいほうがより良いサーバーということになります。(計測に使用したWebサイトのデータは共通)
プラン名 | 平均表示速度(秒) |
---|---|
ライト | 3.26 |
スタンダード | 3.12 |
ハイスピード | 2.95 |
エンタープライズ | 2.93 |
※単位は「秒」
表示速度に関しては、サーバーの応答速度ほど大きな差は出にくいですが、やはり上位プランは 2秒台、下位プランは 3秒台と差が見られました。
こちらは Web サーバーだけではなく、PHP の処理も関係していると思いますので、モジュール版の下位プランと LiteSpeed 版の上位プランの処理速度の差が影響したと考えてもいいかもしれません。
まとめ
以上、ロリポップ!の全 5プランを、料金やサービスのスペックから実際のパフォーマンスまで詳細に比較しました。
以前は、すべてのプランでサーバーのスペック自体が同じだったため、パフォーマンス面では基本的にはプランによる大きな差はありませんでしたが、ハイスピードプランのリリース以降、その結果は変わりました。
サービス面でも、上位プランと下位プランではバックアップやサポート面での違いが見られます。
レンタルサーバーを使用するのは初めてで、どうしても使える自信がない、と言う人は、まず 10日間の無料体験をしてから選ぶか、ライトプランから始めて、あとで上位プランに変更するのもアリです。
ただ、基本的には、「ハイスピード」プランが初期費用無料+月額費用も 550円~と、他社と比較してもコスパが非常に高いため、基本的にはハイスピードプランを選ぶのが圧倒的におすすめです。
圧倒的な高コスパと性能の高さで
「ハイスピード」プラン の一択!