2015年12月にエックスサーバーが PHP7 をいち早く導入してから約1年半が経過し、他社でも PHP7 の導入が進んで、現在はほとんどのサーバーで PHP7 を利用できるようになったほか、PHP7.1 へのアップデートも続々と進んでいます。
これまでも PHP7 のパフォーマンスについて確認してきましたが、多くのサーバーで PHP7 が利用できるようになったので、今一度 PHP7 のパフォーマンスを確認してみたいと思います。
今回は PHP7 を使用できる各社のサーバーに作成した WordPress サイトで、PHP7 と PHP5 を切り替え、サイトの表示速度がどう変化するのかを比較してみたいと思います。はたして PHP7 でサイトの表示速度が向上するのでしょうか。
・WordPressサイトの表示速度をレンタルサーバー各社で比較【2017年版】(GTmetrix)
WordPress サイトでの表示速度の検証条件
サイトの表示速度は、他の記事でも利用していますが、サイト速度のパフォーマンスを測定できる GTmetrix で確認します。
以下に、前提として検証に利用した WordPress サイトなどの詳細な条件を挙げておきます。
測定サイトの条件
- WordPress でサイトを作成
- PHP5(5.6)と PHP7 の平均表示速度を比較
- 平日の9:00~24:00 の間で、2~3時間おきに合計 7回実施
利用したレンタルサーバー
レンタルサーバーは、現時点で PHP7 以降が利用可能な、12社のサーバーを利用しました。
PHP のバージョンに関しては、PHP7.0系が使える場合は7.0系を、さくらのレンタルサーバなど、PHP7.1系のみしか使えない場合は7.1系を使用して計測しています。また、モジュール版が利用できるところはモジュール版を、使用できない場合は CGI版を使用しています。
なお、WADAX も PHP7 を利用できるので、対象だったのですが、計測当日に障害が発生したため、一時 Webサイトの表示ができなくなったり、表示が極端に遅い状況が発生しました。また、WADAX ではサーバーの制限の関係上、他社で作成できた長文サイトの作成ができなかったこともあり、今回は除外しています。
測定サイトの形式
さらに、サイトのコンテンツ内容により速度に変化があるかを確認するため、以下の 2つのパターンのサイトを作成し、比較しました。
サイトの種類 | コンテンツの内訳 |
---|---|
ノーマルサイト | 文字数 約3,000文字+画像1枚 |
長文サイト | 文字数 約37,000文字+画像1枚 |
PHP7 と PHP5 のサイト表示速度の結果比較
ノーマルサイトの表示速度比較
では、早速に表示速度の結果を確認していきましょう。まずは、ノーマルサイトからです。
表中の各数値はサイトの情報を読み込むのにかかった時間の平均値で、単位は「秒」です。
上から PHP7 での表示速度が速い順に並べてあります。当然平均値が小さいほうが、パフォーマンスが良いことになります。
PHP5 | PHP7 | 差分 | |
---|---|---|---|
エックスサーバー | 1.29 | 1.23 | 0.06 |
ロリポップ! | 2.09 | 1.61 | 0.48 |
heteml | 2.20 | 1.66 | 0.54 |
CPI | 1.87 | 1.79 | 0.08 |
クローバー | 2.70 | 1.93 | 0.77 |
mixhost | 1.66 | 1.94 | -0.28 |
さくらインターネット | 2.51 | 1.96 | 0.55 |
お名前サーバー | 2.01 | 1.97 | 0.04 |
カゴヤ | 2.19 | 2.07 | 0.12 |
sixcore | 2.14 | 2.10 | 0.04 |
iCLUSTA+ | 6.13 | 4.61 | 1.52 |
平均 | 2.44 | 2.08 | 0.36 |
結果としては、mixhost を除き、すべてのレンタルサーバーで PHP7 のほうが表示速度が速くなるという結果がでました。全サイトの平均では、0.36秒の向上が見られています。
mixhost に関しては、PHP7 で 17時台に2.5、19時台に2.8秒という大きなブレが生じた結果、平均値では PHP7 のほうが遅くなってしまったのですが、それを除くと PHP5 とほぼ同じ速さです。mixhost はもともと PHP5 でもエックスサーバーに次いで表示速度が速いため、PHP7 の速度が PHP5 と変わらないとしても、ブレがなければ十分速いですね。
長文サイトの表示速度比較
では、次にあえて負荷を高めるために、テキスト量をがっつりと増やした、長文サイトの表示速度を比較してみます。
こちらも数字などの内容は、ノーマルサイトと同様です。
PHP5 | PHP7 | 差分 | |
---|---|---|---|
エックスサーバー | 2.65 | 2.27 | 0.38 |
heteml | 3.43 | 2.27 | 1.16 |
ロリポップ! | 3.75 | 2.44 | 1.31 |
CPI | 3.67 | 2.57 | 1.10 |
sixcore | 4.00 | 2.89 | 1.11 |
カゴヤ | 3.02 | 3.00 | 0.02 |
さくらインターネット | 3.92 | 3.10 | 0.82 |
mixhost | 3.48 | 3.11 | 0.37 |
お名前サーバー | 3.48 | 3.16 | 0.32 |
クローバー | 3.98 | 3.89 | 0.09 |
iCLUSTA+ | 9.42 | 5.97 | 3.45 |
平均 | 4.07 | 3.15 | 0.92 |
こちらもすべてのサーバーで、PHP7 のほうが速くなっており、全サーバー平均で 0.92秒向上しています。
表示速度の平均値が 1秒以上速くなっているサーバーも多く、ノーマルサイトの平均が 0.36秒 なのに対し、こちらの平均では 0.92秒と、文字数が多いほうが 0.56秒も高速化していることになります。処理量が多くなるほど、PHP7 の高速化の効果が高くなる、と言えるかもしれません。
PHP7とPHP5でWordPressの表示速度の変化を比較 まとめ
以上、WordPress サイトの表示速度を PHP7 と PHP5 で比較してみました。
これまで PHP7 のパフォーマンスを他のベンチマークツールでチェックしてきましたが、明らかに PHP7 のほうがパフォーマンス高い、といった結果は出ませんでした。しかし、今回実施した WordPress サイトの表示速度に関しては、ハッキリと PHP7 のほうが速くなるという結果になりました。
今回はテキスト量を増やしたサイトだけしか確認していませんが、処理するデータ量が多くなると、PHP7 にすることによる高速化の効果も高くなるように見受けられます。PHP7 によって確かにサイトの表示速度は向上するようですので、使えるのに使わないのは宝の持ち腐れということになりますね。
特にもともとパフォーマンスが低めの iCLUSTA+ などはかなりの速度向上につながると思いますが、元々高速なエックスサーバーや heteml などもさらに高速化が見込めますので、PHP7 を利用できるのにまだ切り替えていない人は、すぐにでも PHP7 に切り替えてサイトの表示速度を確認してみることをオススメします。