個人事業主や法人で自社の Webサイト運営を任された担当者の方の中には、レンタルサーバーを探すうえで、
「法人向けのサーバーって、個人向けとどう違うの?」
「法人用のサーバーといっても沢山あるけれど、何を基準に選べばいいの?」
と言った疑問を抱いている人が多いのではないでしょうか。
個人の場合と比べて、法人の場合はレンタルサーバーの利用目的がハッキリしていることが多いため、探すのは容易に見えるかもしれません。
しかし、法人の場合は、個人レベルではあまり使用しない専用サーバーやクラウドサーバーなど、サーバーのタイプにも選択肢が多く、利用目的や社内の環境によって、必要となる機能なども大きく変わってくるため、多くの要素を考慮に入れる必要があるため、個人よりもサーバー選びは難しいです。
このページでは、個人事業主や法人向けのレンタルサーバーを探している人向けて、以下に関する内容を解説していきます。
- 個人向け・法人向けサーバーの違い
- 個人事業主~法人用のレンタルサーバー選びのポイント
- 法人向けレンタルサーバー比較
- 法人でも安心して利用できるおすすめのレンタルサーバーの紹介
・個人事業主向け ⇒ エックスサーバービジネス
・法人向け ⇒ CPI シェアードプランSV-Basic
レンタルサーバーにおける「法人向け・個人向け」の違いはあいまい
レンタルサーバーの中にも「法人向け」と謳っているサーバーはいくつもありますが、個人向けのサーバーと法人向けのサーバーの違いは、実はそれほどハッキリしていません。
法人向けのサーバーを個人が使用しても全く問題はありませんし、個人向けのサーバーを法人が使ってはいけない、使えないということもありません。料金的にも、比較的安価な法人向けサーバーもあります。
ただ、機能などに関しては、ある程度の傾向というか、違いのようなものはあります。
たとえば、以下のような点を、法人向けサーバーの特徴として挙げることができます。
- 企業の実在を証明する「EV型 SSL証明書」が利用できる
- 100%の稼働率を保証する「SLA(品質保障制度)」がある
- セキュリティ対策機能が豊富(別料金のオプションが多い)
- グループウェアなど、法人向けサービスが利用できる
- 複数の管理者による管理・共有システムがある
もちろん、必ずしもこういったサービスが提供されていなければ、法人が利用すべきではない、ということはありません。たとえば、SLA(品質保障制度)があれば必ず安定しているというわけではありませんし、それほど高価ではないサーバーでも、十分安定性が高いものはあります。
また、「EV型(実在証明型)SSL証明書」は、運営している会社が実在していることを証明してくれるものなので、信頼性を高めるためにも、あるに越したことはありません。
ただ、EV型証明書は、年間 10万以上の費用がかかるものなので、高い信頼性が必要な中規模以上の会社や物販を大々的に行っている会社でなければ、安価な「ドメイン認証型」の証明書(ドメインの所有者であることだけを証明するレベルの証明書)でも大丈夫です。
「共用サーバー・専用サーバー・クラウド?」選ぶための3つの質問
冒頭に書いたように、個人と比較すると法人の場合、会社や運用するサービスの規模によって、サーバーの選択肢は広くなります。
個人の場合、一般的にレンタルサーバーと呼ばれる「共用サーバー」で十分な人がほとんどですが、法人の場合は「専用サーバー」・「クラウドサーバー」も選択肢に含まれます。
(「VPS」は、専用サーバーのように自由に使いたいが、料金を安くしたい場合に使うことが多いサーバーで、専門的な技術に関する知識が必要なため、ここではあえて選択肢からは省いています)
共用サーバー・VPS・専用サーバー・クラウドサーバーの違いについての詳しい説明は、以下の記事を参照してください。
3.「共用・専用・VPS・クラウド」などレンタルサーバーの種類と違い
では、自分の会社にふさわしいサーバーサービスがどれなのかを、どう判断すればいいのでしょうか。
ここで、以下の 3つの質問に答えてみてください。これで、ある程度サーバーのタイプが絞れます。
サーバータイプを選択するための3つの質問
- 物販を含めた大規模サイトや SNS、キャンペーンサイトなどの運営を行うか?
- 数百人以上の社員や顧客の情報管理が必要か?
- サーバー管理ができる知識と技術を持つ管理者がいるか?
1.と 2. の質問に対する答えが「YES」なら、「専用サーバー」や「クラウドサーバー」での運用が必要になります。特に、一時的に急激なアクセス増が見込まれるキャンペーンサイトなどを運営する場合には、「クラウドサーバー」が最適です。
しかし、たとえ 1.や2. が「YES」でも、3. の答えが「NO」なら「専用サーバー」や「クラウドサーバー」を運用するのは得策ではありません。
サーバー管理ができる管理者がいないのに、大規模サイトや社内データの管理が必要なら、専任の管理者を入れるか、外部に委託することを考えましょう。
そして、1.~3. のすべてが「NO」であれば、「共用サーバー」の一択になります。
スキルのある管理者なしで専用サーバーやクラウドを運用するリスク
専用サーバーやクラウドサーバーを運用するには、高度なサーバー管理スキルが必要です。
専用サーバーやクラウドサーバーは、サーバーを丸裸の状態で貸してもらえるサービスです。自由に使える分、一からすべてのシステムを構築・管理する必要があり、それには当然 OS レベルからの全セキュリティ対策も含まれます。
そのため、自社や顧客情報の流出、マルウェア・ウィルス感染などによる他社へ被害を及ぼすリスクなども、すべて自社で負うことになります。
スキルのある管理者を雇わないことで節約できる人件費よりも、こういった事故によって発生する被害のほうが、はるかに大きいことは容易に想像できると思います。明らかに割に合いません。
中にはスキルがないのにも関わらず、自社でサーバーを運用しようと考える人もいますが、自分でサーバーを立てるのは、専用サーバーを借りるよりもさらに大きなリスクがあります。サーバー会社のサーバーを借りれば、サーバー会社でもある程度の異常検知などが可能ですが、自社の場合は自分で気づかない限り、誰も教えてくれませんので、絶対にやめましょう。
また、専用サーバーやクラウドを利用するのであれば、自分でサーバーを決めてしまわずに、まず担当者や外部委託業者と相談してから最適なものを選ぶようにしましょう。(明らかに高いものを提示されたら、相見積もりを取ってみるといいです)
当サイトでは「共用サーバー」を中心に紹介していますので、ここから先は「共用サーバー」の利用を前提とした、個人事業主・法人用サーバーの選び方のポイントについて、より具体的に説明していきます。
共用サーバーで何ができことを把握しておこう
一応、一般的な共用サーバーでできることを把握しておきましょう。共用サーバーは、主に以下のような用途で利用されています。
- Webサイト運営
- 独自ドメインによるメールやメーリングリストの運用
- オンラインストレージ(ファイルサーバー)
- グループウェア(スケジュール管理・ナレッジ共有)
多くの個人事業主~中規模程度の会社の場合、レンタルサーバーの利用目的はこの範囲内に収まるでしょう。これ以外の用途のサービスを利用したい場合は、そのサービスを利用できるサーバーを探すか、別途専用のサービスを借りるのがいいでしょう。
法人向け共用サーバー選びのポイント5つ
では、法人向け共用サーバーを選ぶ際に重点的にチェックしたいポイントを、5つ挙げます。
- 安定している:稼働率 99.99%は必須・SLA(品質保障制度)があればなお良し
- 高速である:サーバースペック高い・表示速度が速い
- セキュリティが高い:セキュリティ関連機能がある・過去に大きなトラブルがない
- バックアップがある:自動バックアップ機能がある
- SSL証明書が利用できる:EV証明書やサイトシールあり
「安定性」が高ければ、サーバーダウンなどの心配をしなくてすみますので、安心して利用できます。また、サーバーが「高速」で、サイトの表示速度が速ければ、サイトに訪れたユーザーが離脱しにくいため、収益機会を逃さずに済みます。(サイトの表示が遅いと離脱率が非常に高くなる)
顧客や社員などの大切な情報を預かる可能性の高い法人のサーバーでは、「セキュリティ対策」は重要です。セキュリティ対策機能が豊富なのも大事ですが、何よりも過去に大きなトラブルがない会社を選ぶのが確実です。
誤操作によってデータを消してしまうこともありますので、「バックアップ」もとても大事です。バックアップは同じサーバー内ではなく、物理的に別のサーバーに保管されるようになっているところがより望ましいです。
今や「SSL証明書」をサイトに設置するのは常識ですが、ある程度の規模の会社や物販などを行う場合は、会社の実在性を証明できる「EV証明書」を利用しましょう。EV証明書があれば、サイトの信頼性が圧倒的に高くなります。また、セキュリティの高さを示す「サイトシール」が使えるとよりベターです。
「サイトシール」とは、信用できる認証機関の認証を受けている証明となるもので、認証機関のロゴが付いたマークです。サイト上にサイトシールを掲載することで、安全なウェブサイトであることを示すことができます。
ただ、料金的には年額10万円以上はかかりますので、個人事業主や小規模な会社の場合は、一番安い「ドメイン認証」の SSL証明書でも問題ありません。
なお、サーバーを管理する担当者にスキルがあまりない場合は、「サポート」も重視したいほうがいいです。法人向けサーバーの場合、平日しか対応してくれないところが多いため、自社の営業時間内にサポートを利用できるかや、電話サポートの有無などもチェックしておきましょう。
メールとWebサイトのサーバーはできるだけ分ける
もう一つ重要なのは、サーバーの分散具合です。
ほとんどの共用サーバーでは Webサイトとメールの両方を運用可能ですが、ビジネス用途で利用するのであれば、できるだけメールと Webサイトは別々のサーバーで運用したほうがいいです。
もちろん、Webサイトは会社の顔でもありますし、物販も行っているのであれば、サーバーダウンなどでサイトが簡単に表示できなくなることは避ける必要があります。ただ、ビジネス上ではメールが安定して運用できることのほうが、より重要になるケースも多いはずです。
Webサイトは、その性質上、アクセスが一定ではなく、たとえ個人のサイトであっても SNS などを通して急激にアクセスが増えることがあります。もし、Webサイトとメールを同じサーバーで運用していた場合、この急激なアクセスの影響で、メールの送受信にも支障をきたす可能性があります。
また、共用サーバーの場合、自社のサイトだけではなく、同じサーバーに同居している、全く他人のサイトにアクセスが集中した場合にも影響を受ける可能性も考えられます。
そういう意味でも同居ユーザー数の非常に多い、格安のサーバーで運用することは、さらにおすすめできません。(基本的には、転送量制限などで、他のユーザーへの影響は抑えられるようにはなっています)
サイトとメールのサーバーを分けるには
レンタルサーバーで Webサイトとメールを運用するパターンとしては、以下の 3つがあります。
- 同じサーバーで運用する
- 別のサーバーで運用する(同一契約)
- 別のサービスで運用する(複数契約)
1.の場合、メールも Webサイト側のアクセスの影響を受けます。2.と 3.の場合は Webサイトの影響は受けません。
ただ、2. の場合、契約は 1社とだけになりますが、3. の場合はサイトとメールの契約が別々になります。契約する会社が同一であれば、一括で支払いできるかもしれませんが、別の会社のサービスを契約した場合は、支払いも別々です。
同一契約で別のサーバーが利用できれば、サポートの窓口も一つなので、一つの契約で、Webサイトとメールを別々のサーバーで運用できるところがいいでしょう。
利用目的に応じてその他のスペックなどもチェック
利用目的に応じて、ディスク容量やマルチドメイン数などを選ぶことになりますが、主にチェックすべきポイントや目安などを挙げておきます。
- 料金:安いものは安定性が低いため、最低でも月額 1,000円以上を選ぶ
- ディスク容量:通常100GB あれば十分 メールアカウントごとの容量もチェック
- マルチドメイン数:設定できる独自ドメインの数/作成するサイトの数だけ必要
- データベース数:利用可能なデータベースの数/WordPressを利用するならサイトの数だけ必要
- 転送量:Webサイトへのアクセス状況に応じて決める
※転送量とPV(ページビュー)の目安例(エックスサーバービジネスの場合)
プラン名 | B10 | B20 | B30 |
---|---|---|---|
転送量 | 150GB/日 | 180GB/日 | 200GB/日 |
PV | 200万PV/月 | 300万PV/月 | 400万PV/月 |
※PV(ページビュー)一定期間に閲覧されたページ数
個人事業主~法人向けのおすすめ共用サーバーの紹介
以上に挙げた様々な条件をもとに、個人事業主~法人におすすめのレンタルサーバー 3つを紹介します。いずれのサーバーも、性能と価格のバランスがいいプランを挙げています。
エックスサーバービジネス 「B10」プラン | CPI 「SV-Basic」プラン | WebARENA SuiteX 「メールプレミアム プラン100」 | |
---|---|---|---|
月額料金(税抜) | 3,420円~ | 3,800円~ | 4,480円~ |
ディスク容量 | 200GB | Web 300GB メール200GB | Web 400GB メール 50GB |
マルチドメイン | 無制限 | 10個 | 20個 |
データベース数 | 無制限 | 5個 | 3個 |
安定性 | |||
稼働率 | 99.99%以上 | 99.99%以上 | 99.99%以上 |
SLA | × | ○ | ○ |
セキュリティ | |||
セキュリティ対策機能 | WAF Web改ざん検知 SECOMセキュリティ診断サービス | WAF マルウェア診断 | Webサイト改ざん検知 |
バックアップ | |||
自動バックアップ | 無料(復元時一部有料) | 無料 | 有料 |
バックアップ対象 | Web・データベース・メール | Web・データベース | Web・データベース・メール |
SSL証明書 | |||
SSL証明書 | ドメイン認証 企業認証 EV証明書 | ドメイン認証 企業認証 EV証明書 | ドメイン認証 企業認証 EV証明書 |
サポート | |||
電話サポート | 平日10:00~18:00 | 平日10:00~18:00 (有料で24時間365日) | 平日 9:30~17:00 |
メールサポート | 24時間365日 | 平日10:00~18:00 | 平日 9:30~17:00 |
※WAF(Webアプリケーションファイアウォール)は、通常のファイアーウォールでは防げない、ソフトウェア寄りのアプリケーションレベルで動作するファイアーウォール
個人事業主向けのおすすめ「エックスサーバービジネス」
エックスサーバービジネス
エックスサーバービジネス
エックスサーバービジネスは、レンタルサーバーのシェア No.1 で大人気のエックスサーバーの法人向けサービスです。
安定性も速度もトップクラスのサーバー基盤に加え、WordPress サイトを無料で作成してくれる「ホームページ無料制作サービス」やサーバー移転や各種のサーバー作業をプロのスタッフが無料で代行してくれる「設定代行サービス」が利用できるため、専任の担当者がいない会社でもサーバーの運用が楽に行えます。
また、「Web改ざん検知」や「セコムのセキュリティ診断サービス」を利用できるなど、セキュリティにも優れています。もちろん、自動バックアップも完備しており、Web やデータベースのみではなく、メールデータのバックアップもできるため、ビジネス用途での利用も安心です。
安定性 | |
処理速度 | |
コストパフォーマンス | |
月額費用(税抜) | 3,420円~10,260円 |
初期費用(税抜) | 15,000円 |
ディスク容量 | 200GB~400GB |
マルチドメイン数 | 無制限 |
データベース数 | 無制限 |
WordPress簡単インストール | ○ |
お試し期間 | 10日間 |
キャンペーン | ドメインプレゼントなど |
小規模~中規模の法人向けのおすすめ「CPI」と「WebARENA」
社員が数十人規模になるのであれば、やはりメールは別サーバーで運用したいです。この条件に当てはまり、かつ性能のよいサーバーとしては、「CPI シェアードプラン SV-Basic」か「WebARENA メールプレミアム」がオススメです。
CPI シェアードプランSV-Basic
信頼性の高い大手 KDDI 系列で、法人向けの CPI「シェアードプラン SV-Basic」。
CPI の大きな特徴は、Web サイトとメールに加え、コントロールパネルのサーバーを完全に分離している点。各サーバーが個別にアクセスを処理するため、互いのトラフィックに影響を受けることがなくなります。例えば、ウェブサーバーで障害が発生した時でも、メールサーバーは影響を受けないため、安心してビジネス用のメールを運用できます。
また、運用上非常に便利な、テスト環境と本番環境をとても簡単に切り替えることができる「SmartRelease」機能をはじめ、グループウェア「iQube+」やファイル転送サービス「Get a File」を利用できるなど、利用可能なサービスの幅に関しても、共用サーバーにおける最高レベルと言えるサーバーです。
安定性 | |
処理速度 | |
コストパフォーマンス | |
月額費用(税抜) | 3,800円~4,400円 |
初期費用(税抜) | 20,000円 (12か月契約は0円) |
ディスク容量 | ドメイン毎に300GB(Web 100GB/メール 200GB) |
マルチドメイン数 | 10個 |
データベース数 | ドメイン毎に MySQL 5個 / PostgreSQL 1個 |
WordPress簡単インストール | ○ |
お試し期間 | 10日間+20日間返金保証あり |
キャンペーン | – |