2017年6月から、密かにロリポップ!のオールSSD化が進められています。
同じGMOペパボ株式会社が提供している heteml(ヘテムル)では、すでにオールSSD化が完了していましたが、より人気が高く、ユーザー数の多いロリポップ!でもサーバーのSSD化が進められているわけです。
現在は、最上位プランである「エンタープライズ」プランから実装を開始していますが、順次他のプランにも適用されていくでしょう。
今回は、このオールSSD化によって、どのくらいパフォーマンスによい変化がみられるのか、実際に検証を行って確認してみたいと思います。
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オールSSD化でパフォーマンスは向上する
SSD といえば、従来の HDD よりも処理が速いのが大きな特徴で、HDD を SSD に入れ替えることでデータの読み書きの速度が非常に速くなります。実際に他社でもサーバーをオールSSD化することにより、パフォーマンスが向上したことが確認できています。
・エックスサーバーがオールSSD化でさらに速度向上!表示速度比較でその実力を検証
ロリポップ!は昔から人気が高く、また使い勝手やサポートなども非常にいいのですが、パフォーマンスの面においては今一歩のところがありました。それだけに、今回のオールSSD化でのパフォーマンスの向上が期待されます。
今回は、サーバーの重要なポイントである、Webサーバーの安定性と表示速度の 2点について、過去に検証したデータと比較し、その変化をチェックしてみます。
Webサーバーの安定性の変化を比較
まず、Webサーバーの安定性に変化があるかを確認してみましょう。
ここでは、Webサーバーにリクエストを送った際の応答状況と、応答した際の速度を確認します。
以下は、旧環境(2017年3月に検証時)とオールSSD環境のデータの比較です。この安定性は、monitis というサーバーの死活監視を行えるツールにて確認しています。
・Webサーバーの安定性と応答速度をツールで比較(monitis)【2017年版】
安定性 | 応答なし回数 | 応答速度(最速) | 平均応答速度 |
---|---|---|---|
旧環境 | 22 | 180 | 612 |
オールSSD環境 | 4 | 48 | 694 |
差分 | -18 | -132 | 82 |
※応答速度の単位は「ミリ秒」
まず「応答なし回数」の差分を見てみると、その回数がグンと減っています。「応答なし=Webサーバーからの応答が返らなかった、または遅かった」ことを意味しているため、以前より安定して応答できていることがわかります。
また、「平均応答速度」は若干下がっていますが、「最速の応答速度」が結構上がっていますので、全体的な処理速度が向上した影響が見られると言っていいでしょう。
WordPress サイトの表示速度変化を比較
次に、サイトの表示速度に変化がみられるかをチェックしてみましょう。
こちらはサーバーにまったく同じ内容で設定をした WordPress サイトの表示にかかった速度を、サイトの表示速度に関するパフォーマンスを測定できる GTmetrix にて計測し、以前のデータと比較しています。こちらも同様に、比較するのは旧環境(3月の検証データ)のデータです。
・WordPressサイトの表示速度をレンタルサーバー各社で比較【2017年版】(GTmetrix)
以下に、前提として検証条件の詳細を挙げておきます。
測定サイトの条件
- WordPress でサイトを作成(テキスト約3千文字+画像1枚)
- 平日の9:00~24:00 の間で、2~3時間おきに合計 7回実施
- PHP5.6 使用
最小値 | 最大値 | 平均値 | |
---|---|---|---|
旧環境 | 2 | 2.4 | 2.09 |
オールSSD環境 | 1.6 | 2.9 | 1.99 |
差分 | -0.4 | 0.5 | -0.1 |
※数値の単位は「秒」
結果としては、21時台に若干ブレが出てしまい、最大値は大きくなってしまいましたが、最小値と平均値はともに速くなっています。
平均値はブレの範囲に見える値ですが、3月の検証時には 2秒を切ることが一度もなかったのに対し、今回の測定では21時と23時台を除いて、すべて1.6~1.7秒台だったため、確実に速度アップが図られていると言っていいでしょう。
ちなみに、PHP7.1(モジュール版)の測定では、最速1.2秒、平均1.3秒という結果が出ていますので、PHP7以上を使用していればさらなる速度アップが見込めます。
まとめ
以上、ロリポップ!のエンタープライズプランのオールSSD化の影響について、安定性とサイトの表示速度の変化を見てみました。
結果としては、安定性と表示速度のいずれも向上していました。
ただ、安定性に関しては、やはり人気のサーバーだけあって、夜間帯、そして12時・17時とアクセスが増加する時間帯には、顕著に応答速度が遅くなっているなど、サーバーの負荷が高まっていました。
一方、表示速度に関しては、今回はブレの影響がありましたが、日中の速度は他のレンタルサーバーに比べても見劣りしない速度になっています。また、PHP7.1 での表示速度は、最上位のエックスサーバーに迫る勢いで、十分上位にランクできる実力になっています。
ロリポップ!のエンタープライズプランは、値段と比較するとパフォーマンスの面でイマイチな部分があったのですが、これだけの表示速度が出るのであれば、値段に見合った価値は十分あります。
オールSSD化については、まだエンタープライズプランのみが対応している状況で、他のプランへの適用は来年以降になると思われますが、他のプランでオールSSD化が実現すれば、よりコストパフォーマンスのいい、スタンダードプランなどはさらに魅力的なプランになるでしょう。