前回までの記事で、SSL や SSL証明書を利用して、どのように安全性を実現しているかは理解できたと思います。
では、ユーザーが SSL を導入しようとした場合、必ず SSL証明書を取得しなければならないかというと、必ずしもそうではありません。実は、あらかじめレンタルサーバー会社で用意している SSL証明書を利用する方法もあります。
ここでは、レンタルサーバーで利用可能な SSL の種類について説明していきたいと思います。
レンタルサーバーで利用できる 3つのSSL
Webサイトで利用できる SSL には、主に「共有SSL(共用SSL)」と「独自SSL」があります。
共有SSLは、前述したレンタルサーバー会社が取得した SSL証明書を利用して SSL 通信を行う方法です。また、独自ドメインが利用できるのは、基本的に「独自SSL」だけです。
さらに 独自SSL には「IPアドレスベース」と「ネームサーバーベース(SNI)」の2種類があります。
それぞれのサービスの違いを以下に説明します。
独自SSL(IPアドレスベース)
SSL の基本形が、この「IPアドレスベース」の 独自SSL です。1IP アドレスに 1つの SSL証明書を設定します。
共用サーバーの場合は、一部のサーバーを除き、個別にグローバルIPアドレスは払い出されないことが多いので、この SSL を利用するには、別途グローバルIPを払い出してもらうためのオプション料金を払う必要があります。
独自SSL(ネームベース(SNI))
IPアドレスと SSL が一対になっているのが基本の SSL の仕組みでしたが、SNI(Server Name Indication)と呼ばれる SSL/TLS の拡張仕様を用いて、1つのIPアドレスで複数の SSL 証明書を利用することができるようにします。
IPアドレスを個別に払い出してもらう必要がありませんので、IPアドレスベースよりも安価に提供されています。
ただ、携帯のブラウザをはじめ、古いバージョンのブラウザには対応していません。
共有SSL(共用SSL)
レンタルサーバー会社が取得した SSL証明書を、複数のユーザーが共通して利用する SSL です。そのため、無料で利用できたり、または安価で利用できます。
ただ共有SSL を利用する場合は、独自ドメインの URL をそのまま利用することはできず、レンタルサーバー会社のサブドメインのような形で利用することになります。
提供される URL の形式は、以下のように各社様々ですが、どこかにその会社のドメインらしきものが含まれる形になります。
- エックスサーバー「https://(独自ドメイン)-com.ssl-xserver.jp/」
- WebARENA「https://(共有SSLID).securesite.jp」
- さくらのレンタルサーバー「https://secure(ユーザーID).sakura.ne.jp/(独自ドメイン)/」
SSL証明書自体はレンタルサーバーが取得したものであるため、自分のサイトの実在証明にはなっていないこと、また安価で利用できる代わりに URL が大きく変わるため、問い合わせフォームのみなど、サイトの一部にだけ使用する方法として使われることが多いです。
なお、レンタルサーバーによっては、独自ドメインで共有SSL を利用できるところもありますが、その場合共有SSL の脆弱性の問題で、同じサーバーに同居しているユーザーから盗聴されてしまう可能性がありますので、注意が必要です。
レンタルサーバーで利用可能なSSLは異なる
以上3つの SSL の種類がありますが、レンタルサーバーによって利用できる SSL は異なります。
共有SSL を提供していないところ、SNI SSL を提供していないところはそれなりにあります。
また、IPアドレスベースの独自SSL を提供していないところはほとんどありませんが、安価なプランでは利用できないところもあります。
また、SSL証明書を別の会社で取得し、SSL証明書を持ち込む形で利用することができないレンタルサーバーは結構あります。
そのため、SSL を使用する可能性があるのであれば、事前に利用するレンタルサーバー会社を通して自分の希望する SSL証明書を取得できるのか、または持ち込みができるのかを調べておきましょう。
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