一般的なレンタルサーバーを借りた場合、Webサイト と メールの両方を運用できますが、ユーザーの中には、「独自ドメインのメールアドレスのみ利用できればいい」という人もいるでしょう。
- 「メールのみでいいから、もっと安い値段で運用したい」
- 「ビジネスに利用するため、より安定して運用できるメール専用サーバーを使用したい」
こういったユーザーに対して、数は多くないものの、「メール専用のサーバーサービス」を提供している会社がいくつかあります。
このページでは、メールの運用のみに特化したレンタルサーバーのサービスについて、用途や機能などを比較し、紹介していきますが、手っ取り早くおススメを知りたい方に。
- 趣味レベル ⇒ ムームーメール
- ビジネス用途で安く済ませたい ⇒ カゴヤのメールプラン
- 中規模以上の組織で安定性重視 ⇒ WebARENA メールホスティング
なお、将来的に Webサイトも運用したい、Webサイトと同じサーバーでも問題ない、と考えている場合や、独自ドメインでのメール運用のメリットなどについても知りたい場合は、以下の記事を参照してください。
・5.独自ドメインでメールのみ運用するには?(メリット・デメリット、サーバーの選び方)
メール専用レンタルサーバー一覧
まず、当サイトで紹介しているレンタルサーバー関連のサービスを中心に、メールの運用を主目的にしたレンタルサーバーを一覧にしてみました。
初期費用 | 月額料金 | 容量 | メールアドレス数 | マルチドメイン | |
---|---|---|---|---|---|
お名前メール(お名前.com) | 無料 | 42円(500円/年)920円(77円/月) | 1GB/10GB | 無制限 | 1個/20個 |
ムームーメール(GMOペパボ) | 無料 | 50円 | 30GB | 無制限 | 最大20個 |
メールボックス(さくらインターネット) | 無料 | 86円 (1,029円/年) | 10GB | 無制限 | 最大20個 |
メールプラン 共用タイプR2(カゴヤ) | 無料 | 400円~ | 20GB~ | 無制限 | 1個~ |
ビジネスメール スタンダードプラン(お名前.com) | 無料 | 440円~ | 50GB/人 | 1つ無料(オプションで追加) | 1つ無料(オプションで追加) |
メールホスティング(WebARENA) | 5,000円 | 18,000円 | 30GB~ | 300ID | 最大20個 |
上から順に月額料金が高くなっていきますが、それに伴い機能もアップしていくイメージです。
「お名前メール」は2プランで、「ムームーメール」・「さくらインターネット」は 1プランのみ、「カゴヤ」・「ビジネスメールスタンダードプラン(お名前.com)」・「WebARENA」は一番リーズナブルなプランで、他に上位プランもあります。
料金やプラン内容から、主に以下の 3つに分類できます。
- 個人向け格安プラン:お名前メール・ムームーメール・さくらのメールボックス
- ビジネスOKのリーズナブルプラン:カゴヤ・ビジネスメールスタンダードプラン(お名前.com)
- 中規模以上の法人向けプラン:WebARENA
ビジネスメールスタンダードプラン(お名前.com)を除くと、基本的にはいずれのサービスもメールサーバーのみレンタルする形です。もちろん、価格と比例して、より多機能になっていきます。
一方、「ビジネスメールスタンダードプラン(お名前.com)」のサービスは、単なる「レンタルサーバーにメールを設定する」という形のサービスではありません。こちらは、Microsoft の 「Office365」というクラウドサービスのメール機能である「Exchange Online」を利用したもので、メールの送受信だけではなく、スケジュール管理なども行えるようになっており、PC・モバイルなどとも連携がしやすいシステムになっています。
例えば、他のサービスでも Webメールの一機能としてスケジュールを利用できたりしますが、あくまでどの端末でも Webメールにアクセスしないと利用できません。一方、「Exchange Online」の場合、PC では Microsoft Outlook で同期できたり、Windows 8 以上の OS であれば OS 自体の メール機能やアドレス帳などと直接同期をとることができるなど、各端末自身の機能をそのまま利用できたりします。
なお、ビジネスメールスタンダードプラン(お名前.com)は、月額料金が安めに見えますが、これはサービスの性質上、あくまで 1ユーザーごとの料金になっているからです。ユーザーが増えるとその分だけ基本料金が加算されていくため、トータルでは月額料金は高めになる可能性もあります。
メール専用レンタルサーバーの基本機能比較
次に、各サービスの基本的な機能を比較してみましょう。
Web メール | メーリング リスト | メール 転送 | 自動 返信 | スパム フィルタ | ウィルス チェック | コントロール パネル | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
お名前メール | ○ | ×/最大10個 | ○ | × | ×/月額85円 | ○ | ○ |
ムームーメール(GMOペパボ) | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
メールボックス(さくらインターネット) | ○ | 最大10個 | ○ | × | ○ | ○ | ○ |
メールプラン 共用タイプR2(カゴヤ) | ○(50アカウントまで無料) | オプション | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ビジネスメール スタンダードプラン(お名前.com) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
メールホスティング(WebARENA) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
※いずれのサービスも、PC のメールソフトやモバイル端末にメールを設定して送受信するための、POP・IMAP・SMTP は利用可能
機能面から分類してみた場合も、上と同様に 3つに分けられます。
- 1.メールを利用する上でほぼ最低限の機能:お名前メール・ムームー・さくら
- 2.より高度なメール向けの機能が利用可能:カゴヤ・お名前.com(ビジネス)
- 3.中規模以上の組織で安定性やセキュリティを重視したプラン:WebARENA
1. は、とりあえずメールを運用できれば OK というユーザー向けのサービスです。複数人で利用することもできますが、どちらかというと 1ユーザーが複数のメールアドレスを利用する場合に向いています。
2. は、よりビジネス向けで、複数のユーザーでも利用しやすいサービスです。カゴヤでは、「Active!mail」という非常に使い勝手のいい Webメーラーを利用できます。前述のように、お名前.com(ビジネス) の「Office365」も PC やモバイルなどでより使いやすい機能が多数あります。
3. の WebARENA は、仮想専用サーバーでの運用、かつ冗長化が行われていること、稼働率 99.99% 以上を実現していることやIPS(不正侵入防御システム)などの高いセキュリティ対策が施されているなど、安定性を重視したビジネス向けのメールサーバーサービスです。
以上のように、ここでは基本的な機能のみをピックアップしていますが、より高度なサービスでは上の表に含まれない機能も沢山あります。
WebARENA の例を挙げると、「添付ファイル自動暗号化」、「マイナンバー自動検出フィルタ(送信メールにマイナンバー情報が含まれていないか確認)」、「パスワード有効期限設定」など、ビジネス上で非常に重宝しそうな機能が多数用意されています。
まとめ
以上、メール専用のサーバーサービスの価格や機能を比較チェックしてみました。
上で分類したように、各サービスでおおむねターゲットのユーザー層がハッキリ分かれていますので、それほど選択に迷うことはないでしょう。
趣味レベルで、気軽に独自ドメインのメールを運用したいのであれば、「ムームードメイン」で格安に独自ドメインを取得し、「ムームーメール」を利用するパターンが一番オススメです。同じ価格帯の中では安定性も高いですし、ロリポップ!をはじめとして、GMOペパボのサーバーはどれも見やすくて使いやすいです。
ただ、ビジネスで利用するのであれば、やはり最低限「カゴヤのメールプラン」以上のサービスは利用したいところです。カゴヤのメールプランであれば、Webメールが非常に使いやすいですし、365日電話とメールでのサポートが受けられます。
柔軟性や使い勝手の面から行くと、「Exchange Online」が利用できる「お名前.com レンタルサーバーのビジネスメール」は、ダントツに使えるサービスです。ただ、使用する人数分、料金が加算されますので、多人数で運用する場合は、それなりの費用を見込んだほうがいいでしょう。
最後の「WebARENA メールホスティング」は、料金的に高価ですが、ビジネス上のメールは絶対にミスすることはできませんので、この程度の安定性は当然必要です。人件費や設備費用などを考えると、自社でサーバーを立てて運用するよりは、トータルではかなり安く済みますので、十分検討に値します。
- 趣味レベル ⇒ ムームーメール
- ビジネス用途で安く済ませたい ⇒ カゴヤのメールプラン
- 中規模以上の組織で安定性重視 ⇒ WebARENA メールホスティング