「ConoHa WING」(コノハ ウイング)は、2018年 9月 26日に、GMO クラウド株式会社が新たにサービスの提供を開始した、レンタルサーバーです。
「ConoHa WING」は「国内最速」を謳っていますが、「本当に国内最速なの?」と疑問に思う人も多いでしょう。
ここでは、「ConoHa WING」に設置した WordPress の表示速度、Webサーバーの応答速度と安定性(サーバーの応答状況)を、専用のツールで実際に計測してみました。
結論としては、独自に測定したデータによる結果、「ConoHa WING」は Webサーバーの応答速度において「国内最速」と言えるレベルであることがわかりました。
では、公式サイトが「国内最速」とする根拠、そして今回計測したデータの詳細を順に見ていきましょう。
(計測データの結果から見たい人は、こちらをクリックしてください)
ConoHa WING の「国内最速」の根拠とは?
このページの最初の画像にあるように、「ConoHa WING」の公式サイトには「国内最速」の文字と、日本国内シェアのトップ 10 サーバーサービスの中で、最速、かつ 2位に約 2倍の差をつけての 1位という結果が大きく掲載されています。
この順位は自社による検証結果ということですが、その根拠として以下のような注記がされています。
※サーバー処理速度の計測結果は、日本国内シェアを90%以上占めたトップ10サービスの、各サービスの最下位プランをApache Benchで5回計測した平均値です。
ここで出てくる「Apache Bench(アパッチベンチ)」とは、Webサーバーのソフトとして広く利用されている「Apache」に組み込まれている Webサーバーの性能を測定するための負荷テストツールのことを指します。
意図的にサーバーに負荷をかけることで、高負荷状態になったときに、どのようなパフォーマンスを示すのかを確認するための動作確認テストのこと。主に実際にアクセスが集中した時に、サーバーが落ちたりしないように調整などを行うことを目的として用いられている。
この ApacheBench は、単一の URL に対するリクエストを生成し、Webサーバーの様々なパフォーマンスを計測できるツールで、静的な HTML サイトだけでなく、動的に生成される WordPress サイトにも適用できます。
こう言うとちょっと難しく聞こえますが、簡単に言い換えると「Webサイトの単一のページに対する、Webサーバーのパフォーマンスを測定できるツール」と言えます。
当サイトでも、以下の記事にあるように、過去にサーバーのパフォーマンスを計測するために ApacheBench を使用していました。
ただ、ApacheBench で確認できるデータは「1秒間に処理したリクエスト数」といった、一般のユーザーには少し意味がピンと来ないものだったりします。
一般ユーザーにとっては、
「レンタルサーバーの速度」=「Web サイトの表示速度」
と考える人のほうが多いと思いますし、実際にユーザーが一番知りたいのも、このサイトの表示速度でしょう。しかし、この ApacheBench では、Web サイトの表示速度は計測できません。
そのため、サイトの表示速度をチェックできる、別のツールで実際の表示速度を測定してみました。また、サーバーの速度で重要と言える Webサーバーの応答速度(+応答状況=安定性)もチェックします。
今回実施した測定条件の詳細
では、「ConoHa WING」の測定結果を見ていきたいと思いますが、測定を行った際の条件を以下に挙げておきます。
項目 | 詳細 |
---|---|
利用プラン名 | ベーシック |
PHP のバージョン | ver.7.0 |
WordPress のバージョン | ver.4.9.8 |
WordPress のテーマ | Twenty Seventeen |
WordPress プラグイン | WP Multibyte Patch / Akismet / Hello Dolly |
コンテンツ内容 | WPテーマユニットテスト (すべてのコンテンツをトップページに表示した状態) |
測定ツール | monitis 測定元サーバー(東京) |
測定期間 | 7日間 |
測定内容 (安定性) | httpリクエストへの応答状況 (60秒毎にリクエスト実施/10秒でタイムアウト)) |
測定内容 (表示速度) | WordPress サイトの表示速度 (20分ごとに計測を実施) |
コンテンツには、「WPテーマユニットテスト」というテスト用のデータを利用しています。テキストもほどほどの量があるほか、画像や Youtube なども貼り付けられているため、実際のブログなどに近いデータ量になっています。
プラグインに関しては、WordPress をインストールした際に導入済みのもので、それ以上の意味はありません。
なお、今回の測定は、他社と比較する関係上、PHP のバージョンは少し前のバージョンである PHP 7.0 を使用しています。また、サーバーの基本的な実力を図るために、ConoHa WING 独自の「ブラウザキャッシュ機能」は使用していません。(測定時にはまだ提供を開始していなかったということありますが)
Webサーバーの安定性は高く、応答速度も速い!
では、まず「Webサーバーの応答速度」について見てみましょう。
データの意味ですが、「応答なし回数」は、Webサーバーから応答が返らなかったり、大幅に遅延したりしたケースの回数で、回数が少ないほうが安定しています。
また、「平均応答速度」「最速」「最遅」は、Webサーバーから応答が返ってくるまでの速度で、数値が小さいほど応答が速いため、安定性も高いことを意味しています。(単位はすべて「ミリ秒」)
Webサーバーの応答速度計測結果
応答なし 回数 | 平均応答 速度 | 最速 | 最遅 | |
---|---|---|---|---|
ConoHa WING | 0 | 159.6 | 117.0 | 1960.0 |
他社平均 | – | 543.6 | 389.3 | 5501.9 |
差分 | +384.0 | +272.3 | +3811.9 |
比較している「他社平均」の数値は、2018年 3月に実施した「個人向けレンタルサーバー」 8社全体の平均です。(応答なし回数をあえて比較していないのは、上位と下位のサーバーで非常に差が大きく、平均値を出しても偏りが大きいため)
この平均値と比較すると、すべての項目で平均を大きく上回っていることがわかります。
グラフを見ても、ぱっと見で全体的に上下動が少なく安定しているのがわかりますので、新しいサービスにもかかわらず、安定性は十分のようです。
応答速度は文字通り「国内最速」!
Web サーバーの応答速度はかなり速い印象でしたが、その結果を上位のサーバーと比較してみましょう。(2018年 3月時点のデータとの比較)
応答なし 回数 | 平均応答 速度 | 最速 | 最遅 | |
---|---|---|---|---|
ConoHa WING | 0 | 159.6 | 117 | 1960 |
mixhost | 1 | 170.1 | 133 | 1170 |
heteml | 0 | 208.0 | 131 | 3514 |
スターサーバー | 5 | 325.0 | 159 | 9257 |
エックスサーバー | 0 | 392.7 | 297 | 1905 |
平均応答速度が速いものから並べてみましたが、見事 Conoha WING が 1位になっています。
最遅の値を見ると、2位の mixhost や 5位の エックスサーバーが上になりますが、とにかく最速の値や平均値が速いので、まさに「国内最速」と自信をもって言える実力があることがわかります。
WordPressの速度もトップレベル!
さて、気になる WordPress サイトの表示速度ですが、実際にどのくらいの速度が出ているのかを確認してみましょう。こちらは、単に数値が小さいほうが速いです。
WordPressの表示速度計測結果
平均表示時間 | 最速 | 最遅 | |
---|---|---|---|
ConoHa WING | 1.86 | 1.20 | 4.12 |
他社平均 | 2.02 | 1.40 | 19.83 |
差分 | +0.16 | +0.20 | +15.71 |
安定性だけではなく、表示速度でもよい数値が出ています。(こちらも「他社平均」の数値は、個人向けサーバー 8社の平均値)
特に「最遅」の値が、他社平均よりもかなり良い結果が出ています。つまり、表示速度が速いだけではなく、ブレが少ないため、安定して速い速度でのサイト表示ができていることになります。
表示速度では「国内最速」の座は勝ち取れたか?
表示速度でも平均より十分高い数値が出ていることはわかりましたが、はたして「国内最速」の値が出たのか、表示速度の結果が上位のサーバーと比較してみましょう。(以下も 2018年 3月時点のデータとの比較)
平均表示時間 | 最速 | 最遅 | |
---|---|---|---|
カゴヤ | 1.64 | 1.20 | 9.02 |
エックスサーバー | 1.73 | 1.42 | 30.01 |
heteml | 1.77 | 1.29 | 10.66 |
ConoHa WING | 1.86 | 1.20 | 4.12 |
以上のように、残念ながら「平均表示速度」ではトップを勝ち取ることはできませんでした。
しかし、トップのカゴヤとの差がたったの 0.22 秒しかなく、さらに最遅の値がカゴヤの半分以下なので、ブレが最も小さく、安定性が非常に高いことがわかります。
近年は各社が速度向上を激しく競っていることもあり、上位のレンタルサーバーであれば、体感的には違いは全くと言っていいほどわかりません。そのため、Conoha WING は十分トップレベルですし、また表示速度の安定性が高い点は大きなメリットと言えるでしょう。
まとめ
以上のように、「ConoHa WING」は、平均表示速度においては最速ではなかったものの、Webサーバーの応答速度ではトップを獲得したため、「国内最速」の謳い文句は決して嘘ではないことがわかりました。
また、Webサーバーの応答状況や表示速度の両方において、ブレが少なく、安定しているため、Conoha WING を利用するメリットは非常に大きいと言えます。(共用サーバーの場合、同じサーバーに同居するユーザーの利用状況によってもパフォーマンスが左右されることがあるため、基本的な安定性が高いことはとても重要)
さらに、上で少し触れましたが、ConoHa WING には「ブラウザキャッシュ機能」が提供されており、この機能を使用することでさらなる Webサイトの高速表示が期待できます。
以上から、Conoha WING はネットビジネスに利用するのに最適な高い性能があると言っていいでしょう。
Conoha WING のサービス詳細については、国内最速で大評判!「ConoHa WING」を独自に検証・評価レビュー で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。