2020年8月5日に、大人気レンタルサーバー「ロリポップ!」が全プランの大幅リニューアルを実施しました。
そこで、各プランの料金やスペックの違いから、実際にツールで計測した表示速度や安定性の違いについて見ていきますが、「ロリポップ!爆速宣言」と大々的に銘打っているだけあり、実際にかなりのパフォーマンスの向上が見られました。
以下にその詳細を解説していきたいと思います。
ここが変わった!全プランリニューアルの概要
今回の変更点として、ディスク容量や独自ドメイン数などのスペック(仕様)が変更されています。
また、プランによって詳細は異なりますが、あわせてサーバーの根幹となる CPU やメモリなどのハードウェアがより良いものに変更されており、ストレージも SSD に変更されています。
変更点を表にまとめると、以下の通りです。
(ロリポップ!は利用している CPU などが非公開のため、「〇〇倍」といった数値は公称のものです)
エコノミー | ライト | スタンダード | ハイスピード | エンタープライズ | |
---|---|---|---|---|---|
ディスク容量 (GB) | 10→20 | 50→100 | 120→150 | 200→250 | 400→1TB |
ストレージ | HDD → SSD | (※ SSDに変更済み) | |||
独自ドメイン (個) | 20→50 | 50→100 | 100→200 | – | |
データベース数 (個) | – | モジュール版 PHPが利用 可能に | 30→50 | 70→無制限 | 100→無制限 |
CPUコア数 | 約2.6倍 | 約1.5倍 | 約1.8倍 | ||
CPU処理能力 | 約2倍 | 約1.25倍 | 約1.8倍 | ||
メモリ数 | 最大12倍 | 最大1.5倍 | 最大3倍 | ||
ディスク性能 (SSD) | 最大35倍 | – | |||
その他 | ※エンタープライズのみの変更点※ Webサーバーが LiteSpeed に変更 転送量/日 100GB→400GB サブドメイン数 500個→無制限 |
ハイスピードとエンタープライズのスペックアップは先行して行われていたため、今回はエコノミー~スタンダードの変更がメインになります。
今回は単なるサーバーの死活監視だけではなく、各サーバーにテスト用の WordPress を設置して、サーバーの負荷やレスポンスや監視の強化を進めるなど、ユーザー利用時のパフォーマンスを上げるための施策を行っており、ロリポップ!の本気度が伝わってきます。
各プランの表示速度を比較
では、さっそく今回の変更でどのくらい実力アップしたのかを見てみましょう。今回は、スペックアップのメインとなる、スタンダード以下のプランの調査を行いました。
まずは、表示速度の違いから比較していきます。
いつものように WordPress を使用したサイトの表示速度がどれくらい変化したかを確認します。(エコノミープランは WordPress を利用できないため、静的な HTML サイトで測定)
各プランをリニューアル前後で約 7日間測定した結果を比較していますが、数値が小さいほうが表示が速いことを示しています。
プラン名 | 平均表示速度(秒) | ||
---|---|---|---|
リニューアル前 | リニューアル後 | 差分 | |
エコノミー | 1.24 | 1.01 | +0.24 |
ライト | 1.71 | 1.41 | +0.30 |
スタンダード | 1.49 | 1.36 | +0.13 |
すべてのプランで、しっかり表示速度がアップしたことが確認できました。
エコノミーが一番早い数値が出ていますが、これは前述の通り、WordPress ではなく HTML サイトを使用しているからです。
(※ WordPress はアクセスごとにサイトのデータを構築する動的サイトである一方、HTML の場合はすでに作成された静的データを表示するだけなので、相対的に表示は速くなる傾向がある)
また、ライトは速度アップの度合いが一番高いですが、今回のリニューアルにより PHP のモジュール版を利用できるようになっているため、モジュール版を使用すればもっと速くなるかもしれません。
(今回は比較のために、リニューアル前後ともに同じ CGI 版の PHP を使用しています。)
各プランの安定性を比較
次にWebサーバーの応答速度についても見てみましょう。
チェックする項目は 2つで、「応答なし回数」は、Webサーバーから応答が返らなかったり、大幅に遅延したりしたケースの回数で、回数が少ないほうが安定しています。
また、「平均応答速度」は、Webサーバーから応答が返ってくるまでの速度で、数値が小さいほど応答が速いため、安定性も高いことを意味しています。(単位はすべて「ミリ秒」)
要するに、「応答なしの回数」が少ないほど、また「平均応答速度」が速いほど、安定しているといえます。
- 応答なし回数(単位:回):リクエストに対して 10秒以内に最初の応答が返らなかった回数(0に近いほど安定)
- 平均応答速度(単位:ms ミリ秒):リクエストに対し返答を返した応答速度
プラン名 | 応答なし回数(回) | 応答速度(ms) | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
前 | 後 | 差分 | 前 | 後 | 差分 | |
エコノミー | 11 | 0 | +11 | 45.9 | 16.5 | +29.4 |
ライト | 6 | 0 | +6 | 591.4 | 295.2 | +296.2 |
スタンダード | 2 | 0 | +2 | 343.3 | 311.5 | +31.7 |
安定性についても、すべての項目で向上が見られました。
注目したいポイントとしては、特に「応答なし」の回数がすべてのプランで 0 になっているのが大きく、それだけ Web サーバーの安定性が増したと言えるかもしれません。
また、応答速度もかなりアップしており、こちらもライトプランのパフォーマンスには目を見張るものがありますね。スタンダードの成績がやや振るわなかったようですが、短期間での調査で一時的なブレがあったかもしれませんので、気にするほどではないと思います。
まとめ
以上、ロリポップ!の全プラン大幅リニューアルの結果を見てきましたが、内容を簡単にまとめると、以下のようになります。
- ディスク容量やドメイン数などのスペックだけではなく、基盤となるサーバー自体の能力が向上した
- 実際に表示速度・安定性ともに、全プランすべての項目において実力が向上したことが数値でも確認できた
以上のように、宣言通り、今回確認した全プランにおけるサーバーのパフォーマンス向上が確認できました。
また、サーバーの稼働状況についての監視はこれまでも行われていたと思いますが、今回からはサーバーのパフォーマンスに関しての監視体制も強化するなど、ロリポップ!の本気度が伝わってくるリニューアルでした。
なお、今回のリニューアルに伴い料金体制も変更になり、ハイスペックなハイスピードプランが、なんと「初期費用無料+月額料金 500円~」と破格の料金で契約できるようになりましたので、これからロリポップ!を利用するのであれば「ハイスピード」プランが圧倒的におすすめです。