レンタルサーバー選びにおいて、個人的に重要視しているのが、このプラン変更です。
プラン変更とは、同じ会社の同じシリーズ内でディスク容量やデータベース数、転送量などが多い上位プランに変更したり、下位プランに戻したりすることです。
ここでは、なぜプラン変更が重要なのか、またプラン変更に関するサービスのチェックポイントを見ていきましょう。
プラン変更が重要な理由
よいコンテンツを作り続けていれば、徐々にでも確実にアクセス数は増えていきます。
近年はソーシャルメディアの影響で、個人運営のブログであってもバズってアクセス数が一気に増加することがあります。もしバズった時にサーバー側の転送量や同時アクセス制限数を超えると、エラーが発生してサイトが一切閲覧できなくなります。
これは共用サーバーの宿命といっていいものですが、1台のサーバーに何人もが同居している関係上、特定のユーザーの負荷の影響で他のユーザーのサイト表示に影響を出さない必要があるため、レンタルサーバー会社側で一時的にアクセスを遮断することが原因です。
ただ、このエラーがバズなどによる一時的なものが原因であればいいのですが、コンテンツの量が増えて、サイト全体のアクセス量が全体的に上がってくれば、エラーが頻繁に起きることになってしまいます。
そうなった場合の対処方法としては、以下のいずれかしかありません。
- レンタルサーバーの移転(引っ越しする)
- プランを変更する
格安レンタルサーバーを使用している人の多くは、サーバーの移転をするケースが多いでしょう。同じ格安サーバーで上位プランに変更しても、転送量が多少増えても、サーバーのスペックが変わらないと負荷状況には変わりありませんので、結局は同じことが発生します。
ところが、このサーバーの移転というものが非常に曲者です。
サーバーの移転に発生する大きな手間
公開している Webサイトが HTMLベースのサイトであれば、それほど大きな手間はかかりません。
HTMLサイトの移転は、おおむね以下のような流れで行われます。
<HTMLサイトの移転手順>
- 1.旧サーバーから Webデータをバックアップする(ローカルに残っていれば不要)
- 2.新サーバーに独自ドメインの設定をする
- 3.新サーバーに Webサイトのデータをアップロードする
- 4.独自ドメインの DNS設定を変更する
上記もそれなりに面倒な作業ではありますが、サイト数が多くなければ、サイトの転送に時間がかかる以外は、それほどの手間はかかりません。
一方、WordPress などの CMS を使用している場合は、大幅に作業量が増えます。
<WordPressサイトの移転手順>
- 旧サーバーからWeb領域のデータをバックアップする
- 旧サーバーからデータベースのデータをバックアップする
- 新サーバーに独自ドメインの設定をする
- 新サーバーにデータベースを作成する
- 新サーバーにWebサイトのデータをバックアップする
- WordPress の wp-config.php ファイルを新サーバーの情報に書き換えてアップロードする
- 新サーバーにデータベースのデータをアップロードする
- 独自ドメインの DNS設定を変更する
この中でも、「wp-config.php」の書き換えなどが、初心者にはかなり面倒だと思います。WordPress を「簡単インストール」などでインストールしてしまうと、データベースの設定を把握しないままになることもありえるので、情報を探し出すのに手間取ったりするかもしれません。
WordPress の場合はプラグインで引っ越しすることも可能ですが、このあたりの設定変更はどうしても必要なので、データベースのユーザー名やパスワードなどをどこから取得したらいいかわからなかったり、どこに何を設定すればいいかわからなくなってしまうレベルの人にはきつい作業になるはずです。
また、複数のサイトやブログを持っているのであれば、サイトの数だけこの作業をしなければならなくなります。
こういった作業が好きな人であれば別ですが、そうでなければできるだけこういったことに時間をかけたくないでしょうし、どうしても必要でなければ、時間をかけるべきではないと思います。
ネットビジネスの場合、コンテンツの充実など、他にやるべきことが沢山ありますので、できるだけこういったことに手をわずらわされるべきではありません。
そのような場合に検討すべきなのが、この「プラン変更」です。
プラン変更のメリットと各社のサービスの違い
プラン変更が行えれば、サーバーの引っ越しを行わなくても、転送量や同時アクセス制限数を簡単に増加させることができますので、簡単にアクセス増にも対応できるようになります。
ただ、プラン変更はレンタルサーバー会社により大きく差がある仕様の一つですので、よくそのサービスを確認する必要があります。
各社のプラン変更サービスのパターンとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 1.プラン変更できない(プランが1つしかない)
- 2.上位プランには変更できるが、下位プランへの変更はできない
- 3.上位・下位どちらも変更可能
- 4.特定のプランにのみ変更可能
また、プラン変更に伴う、データの移行やかかる費用もそれぞれ異なります。
- プラン変更が可能だが、データの移動は必要 サーバーのスペック(CPUやメモリなど)も変わる
- プラン変更時にデータの移動は不要だが、サーバーのスペック(CPUやメモリなど)は変わらない
- プラン変更自体は無料
- プラン変更時に手数料がかかったり、新プランの初期費用がかかる
プラン変更時にデータの移動が不要であれば、スペックには変更がありません。逆にプラン変更時にデータの移動が必要であれば、スペックが上位プランのものに変更になることが多いです。実質新規で申し込むのと同じですが、月額費用は差額だけでOKというパターンもあります。
ただ、プラン変更時にデータの移動が必要なのであれば、結局は他社に引っ越しすることと同じ手間が発生するため、どうしても同じ会社のサーバーを使用し続けたいという場合を除き、プラン変更のメリットはほぼないといえます。
以上のように、レンタルサーバーによりプラン変更のサービスはバラエティに富んでいますので、できるだけサーバーの移転をしないようにしたいのであれば、契約前に十分このあたりのサービスをチェックしておきたいところです。
プラン変更が柔軟に行えるおすすめのレンタルサーバー
プラン変更が上位・下位ともに無料で行え、総合力でも1位のエックスサーバーが最も柔軟な運営をしやすいレンタルサーバーです。
そもそもエックスサーバーの3つのプラン自体が、できるだけ移転を行わずに済むようによく考えられて構成されていますので、複数のレンタルサーバーを併用する場合でも、起点となるサーバーとして利用するにふさわしいレンタルサーバーです。